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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜

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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜
「どのレンズを選ぶべきか・・・?」
それは写真を制作する者にとって永遠の課題であり、撮影に出かける前に毎回悩むところ。悩みぬいた末に「うーん、やっぱり標準ズームレンズで」なんて優柔不断になっていませんか?そんな貴方に、赤城耕一がカメラのボディごとにベストチョイスとなるレンズをご紹介します。
公開日:2014/03/03

【特別編】FUJIFILM X-T1 + フジノンXFレンズ

photo & text 赤城耕一


最高レベルのEVF + 高速化されたAFを持つFUJIFILM X-T1

そして3ヶ月呑みに行くのをガマンしても手に入れるべきフジノンレンズ

富士フイルムX-T1は同社のXシリーズのレンズ交換式プレミアムカメラ最新モデル。発表時から話題になっているが、機能的には特別に派手な“飛び道具”は搭載されていないのに人気になっていることに注目したい。

人気を集めているのは、一眼レフに似たフォルムと、ダイヤル方式の操作系、高性能のEVFファインダーを搭載しているからだろうか。とくに私がX-T1を高く評価するのは、X-Pro1からのコンセプトである「ファインダー」を再度重要視していることだ。EVFとしては世界最大の倍率を確保し、レスポンスの速さもあいまって、その見やすさは現時点では数あるEVFの中でも最高レベルのものとなっている。

画質面に関してはあらためて説明する必要もないほど。APS-Cセンサーを採用したカメラの中ではもっとも優れた画質であると言い切ってもよいくらいである。ローパスレスのX-Trans CMOS IIセンサーによって形成される画は鮮鋭性のみならず、フィルムのことを知り尽くしたエンジニアが開発陣に加わっていることで、色再現、階調再現性に富士フイルムならではの個性をみせていることも評価したいところ。必ずしも高画素=高画質であるという神話はXシリーズによって再度見直されたようなところがある。

用意されたXシリーズの交換レンズも絞り環を備えたものもあり、X-T1のダイヤル方式の操作性と合わせてたいへん使いやすい。X-T1には像面位相差AFが採用されたので、かつては不満だったAF速度も劇的に改善されていることに注目したい。性能面でも、伝統のフジノンブランドに恥じない高性能なものが多い。いずれのレンズも描写に関してはたいへん評判がいい。

今回は1本のレンズとして選択することができないので現時点で私がX-T1に使用している使用頻度の高く、とくに気に入っているレンズを紹介しよう。やっぱり単焦点レンズばっかりになってしまったぜ(笑)
モデル:coto (PINTO MODELS)

XF14mmF2.8 R


X-T1 + XF14mmF2.8 R

35ミリ判換算で21ミリ相当になる超広角レンズ。開放から優れた描写能力を持っており、1段ほどの絞り込みで中心から周辺まで画質の均質性がほぼ完璧。ほぼ徹底して抑えられた歪曲収差は、風景のみならず、精度の高さを要求される建築での撮影など幅広く活用することができる。カメラを水平、垂直に構えることで、強いパースペクティブを抑制できる。距離指標・被写界深度指標のついたフォーカスリングを装備しており、MF時には適宜に距離設定することで、深い被写界深度を活かしたスナップ撮影を行うことができる。



XF14mmF2.8 R
絞りf4  AE  AWB  ISO3200




XF23mmF1.4 R


XF23mmF1.4 R

35ミリ判換算画角で35mmの画角を持つ大口径F1.4レンズ。非常にニュートラルな描写をするが歪曲収差を光学補正のみで極限まで低減しているという。描写は開放から高画質だ。大口径の広角レンズなのに、中心部では開放でのハロ、フレアを感じさせない。画面全体にわたる像の均質性を求めるならf4あたりで十分。35ミリ判換算で35ミリの画角だが、実焦点距離からみみると開放絞りでも被写界深度は深く、被写体まで距離があると極端に大きなボケは望めない。14ミリと同様に目測設定によるスナップ撮影も可能。ただし、距離の刻みは粗くメーカーには改善をお願いしたい。絞り羽根は7枚で円形絞り。絞りを開けば自然な雰囲気でポートレートが撮れる。



XF23mmF1.4 R
絞りf2  AE  AWB  ISO200



XF35mmF1.4 R


XF35mmF1.4 R

35ミリ判換算で50ミリと同等の画角が得られる大口径標準レンズ。このレンズはXシリーズの交換レンズの中でも、ひとつの描写の基準値ともなりうるものである。開放でのハロは小さく、大口径レンズとは思えない優れた描写で、とくに近距離で絞りを開いた状況では、合焦点の緻密さと美しいボケ味の両方が楽しめる希少なレンズである。各種の収差補正も見事で、建築物撮影などにも安心感がある。Xシリーズのカメラは高感度領域にもかなり強いため、本レンズ一本あればストロボなど補助光を使用せずとも、あらゆる場面にも対処できる安心感がある。実焦点距離が35ミリと短いため、被写界深度が比較的深く、絞れば簡単にパンフォーカスになるし、絞りを開けば中望遠レンズのような描写にみせることもできる。これがズームレンズと違う強みであろう。


XF35mmF1.4 R
絞りf2  AE AWB  ISO400




XF56mmF1.2 R


XF56mmF1.2 R

35ミリ判換算で84ミリの画角。大口径中望遠レンズである。とにかく描写に関しては神がかっているのではないかと思えるほど優れている。開放時からハロやフレアをほとんど感じさせず、合焦点の鮮鋭性、コントラストの高さは脅威的である。しかも、画面中心部のみならず、周辺域まで像の崩れがないのは見事としか言いようがない。同スペックのレンズでは、本レンズと同様の性能を持つものは一本もないと断言できる。画質向上のための絞り込みはまったく必要なかろう。あとは被写界深度のコントロールをどう考えるかだけである。逆光にもかなり強いレンズで、悪条件でもコントラストは維持されることを確認している。Xシリーズユーザーは3ヶ月呑みに行くのをガマンしても必ず入手せねばならないスーパーレンズである。


XF56mmF1.2 R
絞りf1.2  AE  AWB  ISO200
 


XF60mmF2.4 R


XF60mmF2.4 R

35ミリ判換算で90ミリ相当の画角を得ることができる中望遠マクロレンズ。X-Pro1では使用頻度があまり多くないレンズである。実際に人気もいまひとつのようだ。ところがX-T1では、がぜん使いたくなるから不思議なものである。光軸上にアイピースがあることで、マクロ撮影時のホールディングも安定し、使いやすくなった感覚がある。富士フイルムのアナウンスによれば数値性能上では本レンズはトップクラスの性能を有するという。全体繰り出しという真面目な光学設計によるものであろうか。反面AFの速度は遅くなるわけで、機能のために光学性能を犠牲としないというコンセプトがあるのかもしれない。もっともX-T1では像面位相差採用になって、AF速度は実用面ではほぼ問題はなくなったように思う。シャープさとボケ味のバランスのとれたよいレンズである。


XF60mmF2.4 R
絞りf2.8  AE  AWB  ISO800



<メーカーサイト>
富士フイルム X-T1
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/fujifilm_x_t1/

富士フイルム Xシリーズ
http://fujifilm.jp/personal/digitalcamera/x/


カメラファンで「FUJIFILM X-T1」を検索してみる


「FUJIFILM XFシリーズ レンズ」を検索してみる
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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