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被写体&シーン別デジタル写真撮影術

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被写体&シーン別
デジタル写真撮影術
撮りたいイメージがあるのに、どうもうまくいかない。。
カメラ任せで撮ってきたけど、撮れた写真を見るとなんとなく違う気がする。。。このコーナーでは、そんなビギナーに向けて、写真家 岡嶋和幸が、被写体別、シーン別に撮り方の極意を分かり易くレクチャーします。
公開日:2014/07/09

SCENE 1 「海」の撮り方

photo & text 岡嶋 和幸


海辺の景色や波の表情を、印象的に写真に収めよう

旅行先で出合った感動的な風景を写真に収めたら、その仕上がりはいまひとつだった。その筆頭にあげられるのが「海」ではないでしょうか。海の写真が絵はがきのように色鮮やかできれいに仕上がらないのはカメラ設定の問題などではなく、いちばんの原因は「光」なのです。

晴れた日と曇りの日とでは海の色の見え方が違います。もちろん天気は自分の思うようになりませんが、晴れた日でも太陽が顔をのぞかせているときと、雲に隠れているときでは写真の印象が大きく異なります。あきらかに太陽の光がしっかりと当たっているときのほうが色鮮やかできれいです。空も海面に映り込むため、雲が少なくて青空が多いほど透明感が感じられる色になります。

さらに大切なのが太陽の位置です。逆光気味だと海も空も白っぽくなります。撮影したい風景が順光になる方角、あるいは順光になる時間帯を選びましょう。反対に朝や夕方の光を生かした撮影では、太陽が昇る、あるいは沈む方角が色づくため逆光を選びましょう。空が海面に映り込んで、時間とともに色がさまざまに変化します。


【Checkpoint】
:太陽の高さや方向を意識しよう
 海の色を青く写したいなら順光がベストです

:プログラムオートで露出はカメラまかせ
 晴れていれば絞り込まれて画面全体がシャープに写ります

:空や雲を入れて海の色をより印象的に
 青い空や白い雲が海の色を引き立たせてくれます

:ピントは水平線や稜線などで合わせる
 AFが合いやすい輪郭がはっきりした部分を選びましょう

:朝夕の海の表情も狙ってみよう
 昼間だけでなくほかの時間帯の海の色も魅力的です


順光で撮ると海の青さがしっかり出る
海と空の青さが映える写真に仕上げたいなら、晴れた日の順光になる時間帯を選んで撮影しましょう。
50ミリ プログラムオート(F8、1/500秒) ISO100 WB:太陽光 シングルAF



半逆光でシックに仕上げる
順光とは反対に、逆光や半逆光だと海の青さは感じられず、モノトーンの仕上がりになります。夕方の光の色が感じられる落ち着いた雰囲気になりました。
28ミリ 絞り優先オート(F5.6、1/500秒)ー0.7EV ISO100 WB:太陽光 シングルAF


朝焼けの空を波に映し込む
朝焼けや夕焼けの空の色が海に映り込むと幻想的な雰囲気になります。きれいに色づくのはわずかな時間だけなので、慌てないで慎重に撮影しましょう。
300ミリ 絞り優先オート(F11、1秒) ISO100 WB:太陽光 シングルAF 三脚使用

【Step up】


砕け散る波しぶきの様子をダイナミックに切り取ろう
海が荒れているときなど、砂浜に打ち寄せる波や岩で砕け散る波には自然の力強さが感じられます。このようなシーンに出合ったら、広角レンズで風景全体を写すだけでなく、望遠レンズで波の一部分を大胆に切り取ってみましょう。それだけでダイナミックな印象の写真に仕上がります。高速シャッターで波しぶきを写し止めたり、低速シャッターで波の動きを意図的に流してみるのもいいでしょう。
岡嶋和幸(おかじま かずゆき)

1967年福岡市生まれ。東京写真専門学校卒業。スタジオアシスタント、写真家助手を経てフリーランスとなる。作品発表のほか、セミナー講師やフォトコンテスト審査員など活動の範囲は多岐にわたる。写真集「ディングル」「風と土」のほか著書多数。主な写真展に「ディングルの光と風」「潮彩」「学校へ行こう! ミャンマー・インレー湖の子どもたち」「九十九里」「風と土」「海のほとり」などがある。
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  2014/07/09
SCENE 1 「海」の撮り方