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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜

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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜
「どのレンズを選ぶべきか・・・?」
それは写真を制作する者にとって永遠の課題であり、撮影に出かける前に毎回悩むところ。悩みぬいた末に「うーん、やっぱり標準ズームレンズで」なんて優柔不断になっていませんか?そんな貴方に、赤城耕一がカメラのボディごとにベストチョイスとなるレンズをご紹介します。
公開日:2014/07/18

オリンパス M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 / M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8

photo & text赤城 耕一


オリンパスのマイクロフォーサーズ用のレンズはラインアップとしてはまだまだ未完の域なのだが、それでも現時点で入手できる単焦点レンズはなかなかマニアックなものが多い。
M.ズイコーデジタルED12-40mmF2.8 PROの評判は高く、性能があまりにもいいものだから、ワイド系の単焦点レンズなんかいらねえんじゃねえのという意見も多々あるようなのだけれど、私なんかはヘソが他の人とは違う位置についているものだから、逆にこのレンズの使用頻度はかなり低いわけですね。だって、いかにも“キットレンズ”っぽくてイヤじゃん(笑)。


M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8

オリンパスOM-D E-M1+M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8
こちらは丸型金属フードね。これもキレイなデザインである。自分の視覚はこれなんだぜと認識できる人のため、あるいは街に潜むハンターたちのための理想の組み合わせであると言ってよい。したがって出来上がる写真には必ずや思想がある(かもしれない)。

そこで、街を流す場合に使うOM-D E-M1とかPEN E-P5に装着するレンズって、ワイド系の単焦点レンズが多いわけです。いちばん使用頻度が高いのがM.ズイコーデジタル17mmF1.8なんだけれど、画角は35mm判換算で34mm相当なので、35mm画角好きとしてはかなり熱くなるわけです。どうせなら17.5mmにして欲しかったんだけれどね。

もっとも実焦点距離が短いわけだから、被写界深度はすっごく深いので、このレンズの「スナップショットフォーカス」機構はたいへん便利に使っていますね。そう、マイクロフォーサーズ用のAF交換レンズには珍しいMF時の距離指標があるのがすごい便利なわけ。たとえば祭りの撮影などで、喧噪の中、カメラをアタマの上に掲げてノーファインダーで連写するなどという目的にはフォーカスを外す心配もないから最高なのだ。

フォーカスリングを手前にスライドさせるだけでAFとMFの切り替えを行うことができて、MFにすると距離指標が現れる。この仕組みが素晴らしい。時折、切り替えを忘れてAFだと思って撮ってしまったりもするんだけど、被写界深度が深いレンズだから、日中晴天下などでは極端な失敗もないわけです。レンズ構成は6群9枚でDSAレンズ、非球面レンズ2枚、HRレンズを配していて、最短撮影距離は0.25m。重量は120g。性能面も見事で、絞りや撮影距離による性能変化をほとんど感じないのはいい。大口径なのに小型軽量。こういうレンズを使うとフルサイズのデカい大口径レンズなんかぜんぜんイラネという感じになりますな。


OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 F11 1/1000  -0.7 ISO400
港湾風景。夕方の光を丹念に拾う感じで階調が豊富なことを評価。細部までの再現性がよく、これならばかなりの大伸ばしにも十分に耐えるはずだ。


OLYMPUS E-M1 + M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 F5.6 1/640 ISO200
モノトーンに近い条件だけど、壁のくすみなどの再現性もたいへん良好。見た目の印象にかなり近いものになっている。


OLYMPUS E-M1+ M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 F9 1/160 ISO200
少し絞り込むだけでパンフォーカスになる。ディテールの再現もよく、手前から奥までピントを合わせたい場合も重宝するし緻密な風景写真にも向いているレンズである。



M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0

オリンパスPEN E-P5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0
角形金属フードがかっけー。この組み合わせは間違いなく人とは違う写真が撮れるんだぜ、ということを周りに知らしめることができます。ホント。携行性も抜群によくて、カメラバックに入れるのは無粋というものですな。他の交換レンズを持たずに出かけましょう。

次に使用頻度が高いのが、M.ズイコーデジタルED 12mm F2.0。これは「スナップショットフォーカス」機構を採用した初号レンズなのだ。キャッチとしては「ハイグレードスナップレンズ」というふれこみだけどそのぶん値段もハイグレード。でも35mm判換算画角で24mm相当でF2という明るさがステキ。その価格価値は十分ありますぜ。最短撮影距離は0.2mと感動的に寄れる。レンズ構成は8群11枚で、うちDSAレンズ1枚、非球面レンズ1枚、スーパーHRレンズ1枚、EDレンズ1枚というゴージャスである。見た目はそれほどじゃないけどね。でも写りはこのクラスでは最高領域であろう。金属鏡胴で作りもよくて、これもまた130gと小型軽量でいいわけです。

単焦点レンズは、当たり前だけど、画角の変化ができないわけだから、自分の見たいものを見つけたら、どの大きさで撮影するかを瞬時に判断して、撮影距離を決めて、自分が動くしかない。つまり、装着レンズの画角を自分の目として固定し、撮影に挑むことで潔くなれる。もともとマイクロフォーサーズのレンズは焦点距離が短いので被写界深度が深くなり、ボケづらいと言われているわけだけど、だからこそ、単焦点の大口径レンズが必要になるわけ。絞りを開いて撮影すれば、ズームと異なる写真を必ず制作できる。ここにズームレンズと単焦点レンズの特性の大きな差異を見いだすことができるわけなのですよ。
と、いうわけでデキる男(もちろん女性でもいいけど)が選ぶレンズはズームよりも単焦点広角となるわけですね。


OLYMPUS PEN E-P5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 F2.5 1/1250 ISO400
最短撮影距離で花に迫る。梅雨時の雨天。悪天候下なんだけど、最短撮影距離近くまで寄って、絞りを開けばこの程度はボケます。画角はそこそこ広いけど深度は浅いという不思議さがある。


OLYMPUS PEN E-P5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 F2.2 1/4000 ISO100
これもぐっと寄った店頭のパイナップルのおしり。適度なパースペクティブで印象的にみせる手法。絞りを開いて狙いをはっきりさせた。効果的に周辺の状況を取り込めることができるのがいい。


OLYMPUS PEN E-P5 + M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0 F5.6 1/640 ISO100
勝鬨橋。少し絞るとピキッとシャープに。ディテールの再現とか、質感描写をみると小さなセンサーの写真とは思えない画質です。
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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