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フィッシュアイレンズ特集

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フィッシュアイレンズ特集
公開日:2017/03/16

魚眼レンズまとめ〜対角線魚眼レンズから円周魚眼レンズまで〜 その2

photo & text 中村文夫


ミラーレス用レンズ



オリンパス ボディーキャップレンズ 9ミリ F8 (対角線・M4/3)
M4/3用ではオリンパスとパナソニックが、MズイコーデジタルED8ミリF1.8フィッシュアイプロとGフィッシュアイ8ミリ F3.5という対角線魚眼を発売しているが、どちらも高画質を追求した高級タイプなので税込で10万円以上と気軽に使うには敷居が高すぎる。その点、オリンパスのフィッシュアイボディーキャップレンズ9ミリF8は12,960円(税込)。画角は140度と狭いがフィッシュアイらしい盛大なディストーションが楽しめる。絞りはF8固定だがピントがMF式なのでパンフォーカス式に比べ画像はシャープ。ただし画面周中心部に比べると周辺部の画質が落ちるので、撮影の際はフレーミングでカバーする必要がある。

【作例】


オリンパス ボディーキャップ レンズ9ミリ F8(対角線・M4/3)
オリンパス OM-D EM-5Mark2 F8 1/500秒 ISO500





ノーブランド 8ミリ F3.8(対角線・M4/3)
去年のICSの中古カメラ市に出店してたいエレフォトブースで手に入れた中国製の対角線魚眼レンズ。CCTV用レンズの光学系の転用という話で、M4/3とCマウントの2種類が1万円ちょっとの値段で売られていた。ピントはMF式で最短撮影距離は0.2メートル、ちゃんとした虹彩絞りを採用するなど仕様は本格的。ピントノブのプラスチック部品の成形がお粗末など、ツッコミどころは多々あるが画質は意外なほど良い。コストパフォーマンスの良さという意味でお勧めの1本だ。

【作例】


オリンパス OM-D EM-5Mark2 F5.6 1/250秒 ISO200




ペンタックス 03 フィッシュアイ 3.2ミリ F5.6(対角線・ペンタックスQ)
※写真右はカメラ装着レンズ
写真左はフジノン 1.4-3.1ミリ F1.4、手前はボードカメラ用 1.9ミリ F2

小サイズセンサーを採用するペンタックスQシリーズ用魚眼レンズ。Q、Q10に組み合わせときの画角は160度、Q7、Q-S1では173度になる。通常のレンズシリーズとは違う「ユニークレンズ」扱いで、ピントはMFで絞りはF5.6固定。ボディ側の電子シャッターを利用するタイプだ。画質は非常に優秀だがピント合わせがシビア。MFアシスト機能を使って正確にピントを合わせないと良い結果が得られない。これはデジタルカメラ全般に言えることだが、魚眼レンズは被写界深度が深いので、ピント合わせに気を抜くと痛い目に遭う。

【作例】


ペンタックス 03 フィッシュアイ 3.2ミリ F5.6(対角線・ペンタックスQ)
ペンタックス Q7 F5.6 1/500秒 ISO200



フジノン 1.4-3.1ミリ F1.4(CS)
フジフイルムが監視カメラ用に発売するCCTVレンズ。1/3用センサー用なので、ペンタックスQに組み合わせて短焦点側で撮影すると円周魚眼になる。マウントはCマウントよりフランジバックが5ミリ短いCSマウント。Qへの取り付けにはCSマウントアダプターを使用するが、このアダプターは意外と手に入りにくい。私も数年前にebayで発見するまでDマウント用アダプターを改造して使っていた。

【作例】


フジノン 1.4-3.1ミリ F1.4(円周・CS) ペンタックス Q7 F5.6くらい 1/1000秒 ISO200



ボードカメラ用 1.9ミリ F2
ボードカメラ用レンズとは、電子機器に組み込んで使用する超小型レンズのこと。小サイズセンサーのデジカメに組み合わせると魚眼レンズとして利用できるものがある。写真のレンズはM12という特殊なねじ込み式マウント。Q用アダプターは市販されていないので、Dマウントアダプターを自分で改造した。5,000円程度で購入できるレンズもあるので、低予算で魚眼レンズを楽しみたい人にお勧め。

【作例】


ペンタックスQ F2 1/250秒 ISO125



日本国内ではケンコーが扱う韓国のサムヤンも魚眼レンズが充実したメーカーだ。M4/3からフルサイズ用まで、全部で4本の対角線魚眼レンズをラインアップ。値段も手頃で、魚眼レンズ入門に最適だ。このほかケンコーは、アメリカのレンズベビー社製魚眼レンズも扱っている。


サムヤン 7.5mm F3.5 FISH-EYE (対角線・ソニーE)
画面周辺部の画質低下が少なく、とても優秀な魚眼レンズ。APS-C用でオンラインショップの販売価格は34,301円(税込)とコストパフォーマンスの高さも抜群だ。

【作例】


ソニー α7R F5.6 1/250秒 ISO3200




サムヤン 8mm F3.5 UMC FISH-EYE CS II(対角線・ニコンF、キヤノンEF、ペンタックスK、ソニーAマウント)
APS-Cサイズ一眼レフ用魚眼レンズ。このレンズもコストパフォーマンスが高く、気軽に魚眼レンズの描写が味わえる。またフード着脱式なので、フードを外してフルサイズ一眼レフに取り付けると画面が小判型になり、円周魚眼レンズっぽい写りが楽しめる。

【作例】

(APS-Cサイズで撮影)(フードを外してフルサイズで撮影)
ソニー α7R F4 1/3秒 ISO3200




ケンコー魚眼レンズ
通常の撮影レンズの前側に取り付けるフロントコンバージョンタイプの魚眼レンズ。1967年頃に登場し、1980年代の始めまで販売されたロングセラー商品だ。発売当初の価格は12,000円。当時の物価を考えると決して安価とは言えないが、カメラメーカー製の高価な魚眼レンズが買えないアマチュアカメラマンにとって、まさに救世主と言える商品だった。この製品は35ミリカメラの標準レンズに組み合わせると円周魚眼として使用できるほか、焦点距離の長いレンズでは対角線魚眼になる。さらに35ミリ判だけでなく、中判や大判カメラにも使用可能。汎用性の高い製品だ。

中古カメラ店でもたまに見かけるが、レンズへの取り付けには使用レンズの口径に合ったアダプターが必要だ。ほとんどの場合アダプターが付いているが、購入の際はアダプターの有無を確認しよう。また手持ちレンズの口径とサイズが合わないときはステップアップリングなどを併用すると良い。

【作例】


ケンコー 魚眼レンズ ペンタックスK-1(SMC ペンタックス M50ミリ F1.4に装着)F8 1/250秒 ISO400





ニコン フィッシュアイ コンバーター FC-E9 0.2×
フィルムカメラ用の魚眼レンズコンバータは、それほど種類が多くないが、デジタルカメラが普及すると、磁石でセットする簡易タイプから本格的な光学系を採用した高画質タイプまで、さまざまな商品が登場する。なかでもニコンがクールピックス用に発売したFC-E9 0.2×はとても優れた製品だ。

【作例】


ニコン クールピクス E8400 F3.1 1/10秒 ISO400




ロモグラフィ デメキンカメラ
110フィルムを使う魚眼レンズ付トイカメラ。対角線画角は146度でディストーションのある魚眼レンズ風の写真が撮れる。ただしフィルムサイズが小さいので高画質は期待できない。





フィッシュアイレンズ特集

魚眼レンズまとめ〜対角線魚眼レンズから円周魚眼レンズまで〜 その1



中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。