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野寺治孝のフォトレシピ

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野寺治孝のフォトレシピ
公開日:2024/02/19

【ポートレート・スナップ写真編】

Photo & Text 野寺治孝
こんにちは、野寺治孝です。

「野寺治孝のフォトレシピ」と題して、ジャンルごとに作例とポイントをご紹介します。第1回は人物写真編です。

人物写真は私にとって、もっとも緊張する撮影です。撮影に限らず他者と関わると、そこには何かしらの緊張関係が生まれます。初めてのデートや初出社と同じです。

ポートレート撮影で、知り合いにモデルをお願いする場合は撮影のテーマを伝えることが必須です。特にテーマがない場合は「誰かを待っている感じで、楽しかったことを思い浮かべて」など具体的に指示を出しましょう。

また、モデルの意向は最初に聞かない方が良いでしょう。撮る側と撮られる側とで“いい写真”の定義が異なる場合も多いので、先ずは撮る側のイメージに沿って撮影してからモデルの希望するものを撮ってあげましょう。
「私から見たあなた」の姿を写し取るのがポートレートなのです。


それでは、ポートレートを中心にスナップも含めた人物写真の作例とそれぞれのポイントをご紹介します。



コンタックス RX 絞り優先AE F2.8 180mmF2.8  ISO100

ハワイでのスナップです。サーフィンを終えたサーファーがシャワーを浴びていたので、シルエットになるイメージで狙いました。横顔のラインをきれいに撮りたくて背景の明るい場所に人物を配置しました。背景をボカしつつ、シャワーの水はブラしたくなかったのでシャッタースピードが速くなる絞りを開放にしました。



コンタックス RX 絞り優先AE F5.6 85mmF1.8 ISO100

息子が2歳の頃の写真です。妻の実家に行った時、黒い布を壁に貼り撮影しました。子供はこちら側の言うことを聞かないので、事前に撮影準備をしておくのが大切です。(三脚にカメラをセット、露出値、シャッタースピード、テスト撮りなど)この写真のような微妙な表情は偶然です。子供が飽きる前に素早く、多くの枚数を撮りましょう。



コンタックス RX 絞り優先AE 180mmF2.8 ISO100

息子とその友人を昆虫採集に連れて行った時に撮りました。夏の夕方のきれいな逆光だったので、光のいい場所に二人を立たせました。普通の記念写真も撮ったのですが最後に「採集した虫を見せて」と指示を出してこのようなポーズをとってもらいました。ある意味、ヤラセの演出写真です。(笑)



キヤノン EOS R5  絞り優先AE F5.6 1/1000秒 24-105mmF4(91mm辺り) ISO400 +1補正

息子夫婦の結婚記念写真です。地元のフォトスポットで撮りました。小雨でうす暗かったのですが、お祝いの写真ですから露出は+1補正を基準にしました。本当は晴れた明るい光で撮りたかったのですが、天気ばかりはどうしようもありません。室内や雨の掛からない橋の下などあらゆる想定をしました。キャンセルの難しい撮影ではこのようなことも想定内にしておきましょう。



キヤノン EOS R5 絞り優先AE F4-1 1/50秒 24-105mmF4(70mm辺り) ISO2000 1/3補正

知人が「面白いポートレートを撮って欲しい」と依頼してきました。協議の結果、「台湾のギャング映画に出て来るような女ボス」という設定で撮りました。ロケ地は台湾レストランの店内。衣装は私のアロハシャツです。赤いテーブルでしたので真っ赤な口紅を塗ってもらい睨んでもらいました。このような演出写真は遊んじゃった方がいいですね。最終的にはタイトル文字を入れて映画のポスター風に仕上げました。



コンタックス RX 絞り優先AE 35mmF2.8 ISO100

バハマでのスナップです。港を歩いていると少年たちがスイカを食べていました。背景のピンクの壁がきれいだったので真正面から撮りたいと思い、声を掛けて撮りました。複数の人物を撮影する場合は多くの枚数を撮るのが必須です。目を瞑っている人が必ずいるからです。撮り終わった、と思ってからさらにダメ押しの一枚を撮ると、自然な感じが出ていい場合もあります。これはそんなダメ押しで生まれた一枚です。



コンタックス RX 絞り優先AE 50mmF1.4 ISO100

新婚の頃の妻です。友人の結婚式に出かけるメイクをした時の一枚です。部屋の白壁を背景に窓辺で撮りました。確かな数値は忘れましたが露出を+に補正しました。女性ポートレートは明るく撮るのが基本です。意図しませんでしたが、少しブレたのも臨場感が出ていい雰囲気になりました。



キヤノン EOS R5 絞り優先AE F4+1 1/500秒 24-105mmF4(105mm辺り) ISO400 2/3補正

友人家族のポートレートです。お子さんの成長と共に定期的に撮影しています。ご家族の自宅からロケ地に向かう路上の光が良かったので撮りました。このような撮影は決まった場所(例えば七五三祝いなどは神社)では定番の記念写真を撮り、その移動中にはスナップ的に撮ると多くのバリエーションカットができます。子供中心のゆったりとしたスケジュールで撮りましょう。



キヤノン EOS 5D Mark III  絞り優先AE F5.6 1/200秒 24-105mmF4(105mm辺り)
ISO100


一緒に出掛けた時の母です。上記の写真と同じく、光のいい場所と出会ったので撮りました。特に撮影のために出かけたのではありませんでしたが「あ!この場所で撮ったらいいなあ」と閃いたので撮りました。この後、母は腰を痛めて外に出るのが難しくなったので今から思えば「いい時に撮っておいたなあ」という1枚です。写真は閃いたら撮っておきましょう。



キヤノン EOS 5D Mark III  絞り優先AE F5.6 1/1000秒 200mmF2.8+2 ISO200 1/3補正  

ハワイでのスナップです。女性が男性たちを撮影していたので、それを望遠でスナップ撮影しました。海が逆光で光っていたので、露出補正無しでは人物がシルエットになってしまうので+に補正しました。夕陽の逆光ならシルエットもアリです。女性をメインにしながら、3人が重ならないように絶えず注意を配りました。

以上が作例と解説です。

いずれにせよ、風景やスティルライフよりも人を撮るときは緊張します。その緊張感を抑えようとせず撮影してみましょう。無理にリラックスを装うとあざとい写真になってしまいます。失礼のない接し方を重ねれば、信頼関係も生まれてきます。

ときにスナップ写真では相手のことが分からず撮ることも多いでしょう。
制作意図として、相手に知られない自然な姿を撮りたい場合は気配を消して(忍者のように笑)速やかに撮りましょう。

 

<野寺治孝の使用カメラ>


コンタックス RX
キヤノン EOS R5     
キヤノン EOS 5D Mark III
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野寺治孝 NODERA HARUTAKA
1958年千葉県浦安市生まれ。
本郷高校デザイン科、にっかつTV映画芸術学院卒業。広告デザイン事務所、郵便配達員、牛乳販売業など職を転々とするが1984年にポストカードの自費制作販売を機にプロ写真家として活動を開始する。1991年に「有限会社スローハンド・野寺治孝写真事務所」を設立。多岐にわたる被写体を空気感とストーリーを感じさせる独自の作風で多くの作品を発表している。


<主な著書>

個性あふれる“私らしい”写真を撮る方法


カッコいいスナップ写真の撮り方


写真の撮り方レッスンブック


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