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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2013/01/09

レフレックスレンズ大全 第2回

photo & text中村文夫
第1回につづきレフレックスレンズをご紹介します。
 

600ミリ以上のレフレックスレンズ

600ミリ以上のレンズも種類が少ない。さすがにこれだけ焦点距離が長いと画角が極端に狭くなり被写体が限られてしまう。またレフレックスと言えども大型化が避けられないばかりか開放F値も暗くなり、シャープな像を得るには、それなりの撮影技術が必要になる。今回は紹介できなかったが、かつてニコンとペンタックスは2000ミリの商品をラインアップしていた。


SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 600mm F8
全部で3本あるシリーズのうち、中間の焦点距離に位置する製品。マウントは固定式。


SOLIGOR C/D MIRROR LENS 650mm F8.5
中途半端な焦点距離のレンズ。前玉径も実測で約90ミリと、かなり大きい。


REXATAR 750mm F11
かなり古そうなレンズ。ほとんどのレフレックスレンズは、前玉回転式で副鏡を前後させてピントを合わせるが、このレンズは後群の屈折式光学系を動かす方式。



MINOLTA RF ROKKOR 800mm F8
距離目盛りの前方にある銀色のノブがピントレバー。副鏡を前後させてピントを合わせるレフレックスレンズはとても珍しい。レバーから真っ直ぐ伸びた棒が副鏡に繋がっているので、視力検査に使うランドルフ環のようなボケが出る。このレンズは、ライカR用レンズとして供給されたことで有名。ミノルタはRF ROKKOR 1600mm F11にも同じ方式を採用している。



SIGMA MIRROR-TELEPHOTO 1000mm F13.5
シリーズ中、焦点距離が最も長い。鏡筒はクリーム色。シグマは、通常の黒のほかダークグリーンなど、多彩なカラーを用意していた。


無名レフレックスレンズ 1000mm F11
ブランド名表示のない謎の日本製レンズ。距離目盛りは印刷や刻印でなく、シールが貼ってあるだけ。

 

<その他のレフレックスレンズ>

絞り付きレンズ

レフレックスレンズは、構造上、絞りが組み込めないと説明したが、実は私の手元に2本の絞り付きレンズがある。ただ普通の絞りと違って、明るさは調節できても被写界深度のコントロールは不可。絞っても画質は良くならず、逆に劣化することも。製品化したものの実用性に乏しく、後に続く製品が現れなかったのだろう。


HANIMEX MIRROR LENS 300mm F5.6
レンズ前側に虹彩絞りを内蔵。絞るに従ってドーナツ状ボケの幅が小さくなる。


HANIMEX MIRROR LENS 500mm F8
虹彩絞りではなく、主鏡と副鏡の間にある筒が前後して光量を調節する。同様の構造を採用した300ミリもある。

 

ソリッドキャット

NASA御用達の光学メーカーとして有名なパーキンエルマー社が製造したレフレックスレンズで、鏡筒長を短くするため鏡筒内部がガラスブロックで満たされている。確かに鏡筒は短いが非常に重い。ビビターに2本のレンズがOEMされた。このほか、この技術を応用した製品にHybrid Cat 450mmF5.6がある。


VIVITAR SERIES1 SOLID CATADIOPTRIC LENS 600mm F8
シリーズ1はビビターが高級レンズに与えた特別な称号。アメリカ製のビビターレンズはとても珍しい。


VIVITAR SERIES1 SOLID CATADIOPTRIC LENS 800mm F11

 

ズームレンズ

私が知る限り、レフレックス式ズームレンズはこの2本だけ。ズーム比は低いが、微妙なフレーミング調整に便利。ただし単焦点レンズに比べるとF値が暗くピント合わせが難しい。


smc PENTAX REFLEX ZOOM 400〜600mm F8〜12
世界初のレスレックス式ズームレンズ。


SOLIGOR C/D MIRROR ZOOM LENS 500〜800mm F8〜12
ペンタックス製レフレックスズームを「世界で唯一」とする文献をよく見かけるが、これは間違い。恐らくこのレンズは、ペンタックスを越えるスペックの製品として企画されたもの。ただし性能はそれほど期待できず、逆光で撮影すると盛大にゴーストが発生する。ソリゴールのほか、スターブリッツなど、さまざまなブランドの製品が存在する。


SOLIGOR(左)とPENTAX製レンズ

 

シーフシュピーグラー


NUR SPIEGEL-OPTIK TS500E(500mmF8)
主鏡と副鏡を斜めに配置、光路がZ型になる設計の非常に珍しいレフレックスレンズ。ドイツ語で「傾いた鏡」を意味する「シーフシュピーグラー」呼ばれ、絞りを内蔵することが可能。西ドイツのMeta Gerätetechnik GmbH製で、ピント合わせをモーター駆動式にしたTelespectという製品もある。写真では水平に置かれているが、実際には対物レンズを下に傾けて正面の被写体を撮影する。

 

35ミリ以外のフォーマット用


CANON REFLEX LENS CL 250mmF4
キヤノンがレンズ交換式ビデオカメラ用に製造した製品。後部にターレット式絞りとNDフィルターを内蔵している。専用テレコンバータも用意されていた。


MINOLTA V REFLEX LENS 400mmF8
APSフィルムを使う一眼レフのベクティス用に開発されたAFレンズ。


MAMIYA-SEKOR REFLEX C500mmF8
中判カメラのM645用に開発された。製造期間が短かったためか、中古市場であ まり見かけない。(写真のレンズはペンタックス645マウントに改造済)


KINOPTIC ZOOMAR SPORT-REFLECTOR  500mmF8
ドイツのキノプテックが発売した大口径レフレックスレンズ。マウント交換式で66判以下のフォーマットに対応。鏡筒下部にあるツマミを回転させると主鏡が前後に移動してピントを合わせる。



REFLEX-TAKUMAR6×7 1000mm F8
ペンタックス6×7用レフレックスレンズ。最大径180ミリという巨大レンズ で、私の知る限り中判カメラ用レフレックスレンズでは最長の焦点距離だ。


HANSA REFLEX BIRDSCOPE 300mmF5.6
レフレックスレンズにアイピースを組み合わせたコンパクトな単眼鏡。アイピースをTマウントに交換すると望遠レンズとして使用できる。

 

レフレックスレンズのマウントについて


レフレックスレンズの多くが「T2規格」の交換式マウントを採用している。そのため使用するボディに合わせたT2マウントさえ用意すれば、フィルム、デジタルを問わずさまざまなボディに装着できる。

 

フィルターについて

レフレックスレンズの前玉径は大きいので、小口径のフィルターが後部に取り付け可能な製品が多い。写真のようなスロット式のほか直接ねじ込む方式がある。


後部にターレット式フィルターを内蔵した製品。

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中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
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