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カメラアーカイブ

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カメラアーカイブ
巷に溢れる新製品情報。そんな情報の波に埋もれてしまっている魅力的なカメラたちがある。メーカー開発者たちが、心血を注いで創りだした名機の魅力を蓄積していく。
公開日:2012/11/29

ローライフレックス/ローライコード 第2回 実写編

photo & text 中村文夫

 

使用フィルムとフィルム装填


ローライの二眼レフに使用するフィルムは、「ブローニーフィルム」。これは日本だけで通用する俗称で、正式名称は120フィルム。6×6判で12カットの撮影ができる。このほかブローニーフィルムには24カットの撮影ができる220フィルムもあるが、ボディ側が220フィルム対応でないと使用できない。以前はフィルム入れ替えの手間が減ると同時にコストが低く抑えられるメリットがあったが、最近では需要の少なさからフィルムの種類が激減。現像代を含めコストも割高になってしまった。


ローライフレックスのフィルム装填の方法は、大きく2つに分けることができる。最初に紹介するのが「オートマット」で、主に高級機のローライフレックスが採用。なお現行商品のローライフレックスは、コストダウンのため後で紹介する「セミオートマット」になっている。どちらの装填方法も使い勝手に大きな差はないが、「メカの複雑さ」という意味では、やはりオートマットの方が上。
精密機械の醍醐味が堪能できる。
 
ローライフレックス(オートマット)フィルムの入れ方

オートマットとは全自動の意味。動画を見れば分かるように、スプールをカメラに装填した後、2本のローラーの間リーダーペーパーをくぐらせ、カメラ上部の空スプールのスリットにセット。クランクを右回転させリーダーペーパーがスプールにしっかり巻き付いたことを確認したら裏ぶたを閉め、クランクがストップするまで巻き上げる。フィルムカウンター窓に1が表示されればOK。今度はクランクを左回転させストップしたらシャッターチャージ完了。シャッターボタンを押すとシャッターが切れる。
 
ローライコード(セミオートマット)フィルムの入れ方

セミオートマットは、名前が示す通り「半自動」のこと。リーダーペーパーを空スプールにセットし、リーダーペーパーに印刷されたスタートマークがカメラ側の指標に来るまで巻き上げノブを巻き、裏ぶたを閉める。巻き上げノブをさらに巻き、巻き上げができなくなったらフィルム装填完了。このときフィルムカウンターには1が表示される。シャッターはセルフコッキング(自動セット式)ではないので、撮影用レンズ脇にあるレバーで、シャッターをチャージ。シャッターボタンを押すとシャッターが切れる。
 
セミオートマット式カメラでは、フィルムのリーダーペーパーに印刷されたスタートマークをカメラ側の指標に合わせ、裏ぶたを閉じる。

両方式とも12枚の撮影を終えたら、下側のスプールからトレーラーペーパーが外れ上側のスプールに完全に巻き取られるまでフィルムを巻き上げる。具体的にはトレーラーペーパーがスプールから外れる音が合図。さらに巻き続け、手応えが軽くなったら裏ぶたを開けフィルムを取り出す。
 

ピント合わせと露出について

ローライのファインダーはレフレックス式。簡単に説明すると一般的な一眼レフからペンタプリズムを省いた構造なので、視野は左右逆像になる。そのため高速で左右に動く被写体は苦手。ファインダー内の画像が被写体とは逆の方向に動くので追い写しは諦めた方がいい。また、この欠点を補うためピントフード前部を倒すとスポーツファインダーとして使うことが可能。さらにアクセサリーとしてペンタプリズムも用意されている。
このほか機種によってはフォーカシングスクリーンの交換ができるので、ローライフレックス用として市販されている明るいタイプのスクリーンに交換すると使いやすくなる。

 
ピントフードの前板を内側に倒すとスポーツファインダーになる。 ピントフードを外した状態
 
フォーカシングスクリーンは交換式

二眼レフは、撮影用レンズの上にファインダー用ビューレンズが乗った二階建てになっている。そのため近距離撮影だとパララックス(視差)が生じ、ファインダーでは見えていた画面の上側が写らないことがある。これを防ぐため、ヘリコイドの繰り出しに連動して移動するマスクをファインダー内に備えているが完璧に補正しきれない。特に至近距離ではギリギリのフレーミングは避けた方が良いだろう。

ローライフレックスなど高級機を除き露出計は搭載していないので、厳密な露出が要求されるリバーサルフィルムを使う際は、単体露出計を用意する。なおラチチュードの広いカラーネガフィルムなら、それほど露出のことを気にしなくても大丈夫だ。

露出計を内蔵したローライフレックスは、ボディ正面、ネームプレート部分に受光部があるので、すぐに見分けが付く。露出計本体はピント合わせノブに内蔵。追針式で露出を合わせる。この露出計はカメラ本体のシャッタースピードと絞りに連動しているので使いやすい。測光方式は反射光式。受光角が広いので直射光が当たると、露出アンダーになることがあるので注意が必要。付属の拡散板を付けると入射光式として使用できる。

 
露出計受光部 受光部に入射光用拡散板を付けた状態
 
露出計本体はピントノブに内蔵。2本の針を重ね合わせて適正露出を得る。セレン光式なので電源は不要
 

ローライ専用アクセサリー

ローライの二眼レフにはさまざまなアクセサリーが用意されている。レンズフードやストラップのような必需品から、ちょっと凝りすぎ?というものまで、とにかく多彩。これらのアクセサリーを使いこなすのもローライの楽しみといえるだろう。 
 

ストラップとケース

ローライの二眼レフは意外と重く、ネックストラップが必需品だ。だが取付金具が特殊なので市販の一般的なストラップが使えない。だが純正ストラップは非常に高価。こんなときはローライ用として市販されているサードパーティ製を選ぶと良いだろう。また純正革ケースにはストラップが付いているので、こちらを選ぶ手もある。

 
特殊な形状をしたカメラ取り付け用金具
 
ローライ用として市販されているサードパーティ製ストラップ。二股に分かれた先端をボディの吊り金具に通し、ストラップに編み込むように固定する。
 

レンズフード

現行品を除いたローライ製二眼レフのレンズは単層あるいはノーコーティング。そのため逆光に弱く、ゴーストが現れたり、フレアのためコントラストが低下したりする。これを防ぐためレンズフードは必需品だ。初期型を除きローライのフードはレンズ外周に設けた外爪にセットする方式で、レンズの口径に合わせてバヨネットI〜IVまでの規格がある。さらにフィルターは内側のバヨネットに装着する方式でフードと同様の規格がある。
 
左から、バヨネットI、バヨネットII、バヨネットIII。BAY Iなどと表記されることが多い。
バヨネットIは、テッサー75ミリF3.5、クセナー75ミリF3..5、トリオター75ミリF3.5など、主にF3.5クラスの普及タイプのレンズ用。バヨネットIIは、プラナー75ミリF3.5、クセノター75ミリF3.5など高級レンズ用。バヨネットIIIはプラナー80ミリF2.8、クセノター80ミリF2.8、ビオメター80ミリF2.8など大口径レンズとテレローライ用。写真には写っていないが、バヨネットIVはワイドローライ用だ。サイズがよく分からないときは、ショップにカメラを持参して確かめると良いだろう。金属製のほかラバー製もある。
 

ムター

ムターは、レンズ交換ができないローライ二眼レフの欠点をカバーするフロントコンバーター。焦点距離を0.7倍にする広角用と1.5倍にする望遠用の2種類がある。フードと同様バヨネットI、II、IIIの規格がある。
ムター1.5倍を取り付けた状態
 

ローライフィックス

ローライ二眼レフ専用のクイックシュー。ローライの三脚ネジ穴は、裏ぶたに固定されているのて、強度上の問題がある。ローライフィックスは、前側の2本のピンでボディ本体を固定するので、カメラを確実に雲台に固定できる。なお固定用ピンがない初期のボディには使用できない。


 

ピストルグリップ


ボディ底部に取り付けるピストル型グリップ。引き金を引くようなスタイルでシャッターが切れる。取り付け方はローライフィックスと同じ。
 

プリズムファインダー

ファインダー像を上下左右正像で見られるアイレベル式プリズムファインダー。ピントフードが外せるタイプのボディに使用可能。ピストルグリップと組み合わせると機動性の高い撮影ができる。
 
 

ローライメーター

カメラの上部に取り付ける二重像合致式距離計。レンズの前後の動きに連動してミラーが動きピントを検出する。コレクター向けのアクセサリーだ。
 
 


 

ローライキン

35ミリフィルムを使うためのアクセサリー。カメラのーアパチャー(露光面)に取り付けるマスク、35ミリパトローネ装填用スプール、フィルムカウンター、ファインダー用マスクがセットになっている。フィルムカウンターが付いた状態で売られているボディが多く、そのためフィルムカウンターなしのローライキンセットをよく見かける。
 
  フィルムカウンター


 

ローライナー

ローライ専用クローズアップレンズ。通常のクローズアップレンズを撮影用レンズ、ビューレンズにパララックス補正光学系が入ったアタッチメントを取り付ける。フィルター同様、異なるバヨネットサイズが用意されている。
 
 


 

パノラマヘッド

パーンしながら撮影した画面を繫いで、パノラマ写真を得るためのアクセサリー。カメラを水平にセットするための水準器が付いている。
 
 


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中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
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