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中古カメラの買い方ガイド

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中古カメラの買い方ガイド
「欲しいカメラがあるけれど、どこをチェックして買えばよいのかわからない」「そもそもどのカメラを買ったらよいのかわからない」
そんなカメラを求めてさまよう子羊たちに、写真家 赤城耕一が購入時のチェックポイントをわかりやすく解説します。
公開日:2013/10/24

ライカ M3はこう買いなさい

photo & text 赤城耕一
ライカ M3(1954年)
【Spec.】
●使用フィルム:35mmフィルム
●シャッター制御:機械式
●シャッター速度:1〜1/1000秒、B
● レンズマウント:ライカMバヨネットマウント
● 露出制御:マニュアル
● 電池:なし
● サイズ:W136×H77×D33.5mm、重量 595g
 

60 年経ったいまでも憧れのカメラ

ニコンFと同様にライカM3を知らないと、ライカ、とくにM 型ライカは語ってはならじという風潮がある。もちろん、記念すべきM 型の初代モデルであるから、尊敬を集めていることは確かであるが。

ファインダー性能に関しては、もうこれ以上はないというほど優れている。というか、M3 の代わりになるものがないのだ。交換レンズに応じて自動出現するフレームは品格さえ感じさせ、「被写体にフレームが貼り付いてみえる」という表現は大げさではない。またパララックスが自動補正され、至近距離の視野率は100%に近い。数あるレンジファインダーの中でも、いまだに評価が高いのはコストを無視したかのようなその見え方にあるに違いない。




M3も息の長いカメラであるから、初期モデルの2 回巻き上げでフレームセレクターが省略されているもの、ネックストラップアイレットの形が異なるものなど、多種があって、コレクターさんなどは、各種モデルを集めて喜んでいるけど、実用派にはなるべく新しいモデルをおすすめする。メンテナンスも容易なモデルではあるけれど、ファインダーが劣化した個体などを最初に使用してしまうと、ライカなど大したことのないものとして誤解されてしまう可能性があるからだ。

M3 のフレームは50、90、135mm。どちらかといえば標準レンズ以上の長焦点レンズを好む人のためにあると言われている。レンジファインダーの標準レンズともいえる35mm を使う場合はゴーグルやメガネと呼ばれる補助レンズつきのものを選択するか、外付けのファインダーを用意する必要があるが、個人的には後者の方法で撮影することをおすすめする。なぜならゴーグルはショックに弱く、距離計の精度に影響を与えるものが多いからである。

50mm フレームの四隅の角が丸くなっているのがM3 で個人的には唯一気に入らない点であるが、最近ではこれも個性として捉えることができるようになってきた。トシをとるとこうした価値観も変わるのだ。

さすがに初期タイプは発売してから軽く半世紀を過ぎており、完全な性能を発揮する個体も少なくなりつつある。しかし、ファインダー関連を除けば、メンテナンスは可能。50ミリ標準レンズを徹底して使いこなしたいという人にはおすすめだけど、35ミリを基本としたいという人はM2やM4という選択肢もあり、実用派ライカ使いは柔軟な選択を。


 
ファインダーの二重像のメリハリを確認
距離計像は経年変化によるものであろう。像が薄くなり、ピントが合わせにくい個体も多いので、十分なチェックが必要
つり環のスレをチェック
ネックストラップアイレットは摩耗によってすり減っているものがある。ここから吊り環が外れることもあり注意したい
 
グッタペルカ、貼り革のはがれ
グッタペルカも経年変化で剥がれているものが多い。撮影したこの個体も後に製造された代替え品が使われている
シャッター幕のカビ、黒光り
シャッターは布幕横走り。カビや汚れに注意したいが、太陽光を直接向けると穴があいてしまうことがあるので要注意

カメラファンの在庫から『ライカ M3』を探してみましょう。


 
露出計内蔵で使いやすいM6(1984年)
コレクターさんには不人気のカメラだけど、M4 のフォルムにTTLメーターを入れたことはもっと高く評価されてしかるべきではないか。スポット性の強いメーターゆえに被写体の反射率には気を配りたい。昨今の中古価格の下落がすごく、廉価に入手できる。ライカを実用として使いたい人にはいちばんのおすすめモデルである。


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赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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