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中古カメラの買い方ガイド

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中古カメラの買い方ガイド
「欲しいカメラがあるけれど、どこをチェックして買えばよいのかわからない」「そもそもどのカメラを買ったらよいのかわからない」
そんなカメラを求めてさまよう子羊たちに、写真家 赤城耕一が購入時のチェックポイントをわかりやすく解説します。
公開日:2014/04/04

Rolleiflex3.5Fはこう買いなさい

photo & text 赤城耕一

Rolleiflex3.5F (1959年)
【Spec.】
●使用フィルム:中判フィルム 120/220
●シャッター制御:機械式
●シャッター速度:1〜1/500秒、B
● レンズマウント:レンズ固定式
● 露出制御:マニュアル
● 電池:-
● サイズ/重量:W112×H148×D98mm、1220g

二眼レフのスタンダードともいえる名機

二眼レフというと、そのスタイルから非実用的なインテリアの置物と考えている人がいるらしいがとんでもない話である。ローライフレックスシリーズはいずれも現役での愛用者は多いし、現行機もあるほどだ。しかし、趣味と実用性を両立させたいのなら、やはりローライフレックスでは最高峰となる2.8Fか3.5F を選択したいものである。
私も各種のローライフレックスを使っているが、持ち出す機会がいちばん多いのが3.5F。本機の搭載レンズはプラナー75 ミリF3.5 とクセノタール75 ミリF3.5 があるが、私が使用しているのは前者だ。なぜなら、軽量でシャッターも軽いからである。ちなみに両レンズを撮り比べたことがあるけど、どちらがよいかなどという話は瑣末なこと。ボケ味が少々異なるかなという程度で、鮮鋭性には大きな違いはない。

二眼レフのすごさはミラー駆動によるショックがないこと、シャッター音が小さいことで、手持ちでかなりの低速シャッターを切ることができる。シャッターを切った瞬間も被写体を観察できるので、ポートレート撮影には本当に重宝する。一連の動作が優しく、被写体側に威圧感を与えることが少ないからであろう。カメラ自体に優しさが内包されている感じなのである。

ファインダーは左右逆像になる。これを嫌って、アクセサリーとして用意されているプリズムファインダーを装着している人もいるけど、カメラ全体がかなりの重量級になってしまうこと、状態のよいファインダーが少ないことなど、あまりおすすめできるものではない。

もちろんフルメカニカルカメラであり、内蔵しているメーターはセレンだから電池はまったく必要としていない。近距離撮影になるほどパララックスが大きくなり、これは欠点ともいえるのだが、やむをえないことであり、ファインダーで見た感覚と、実際の写真の雰囲気が異なることがあるが、これすらも予測し、効果を楽しむくらいの心意気でなければ使用する意味はなかろう。

エド・バン・デル・エルスケン、アービング・ペンやリチャード・アベドンの愛機であり、風景よりもポートレートを撮影したくなる。撮影レンズと異なる別の「目」で冷静に被写体が見られるような気がする。美しいデザインのカメラだ。レトロなカメラに見られるけど、これ以上古びようがない。当然、現代の高性能フィルムを使えば高品位写真を制作することができる。




ミラーの腐食がないか
ミラーは当然固定されているが腐食しているケースも散見されるので注意したい。ミラーを加工している業者もある
巻き上げが重い個体もある
フィルム巻き戻しもノブ式。時間がかかるが仕方がない。基部にあるのは距離計用の視度調整。M型ライカにない



レンズが水平に繰り出しているか
アタリ、歪みのある個体はレンズが水平に繰り出せない。フィルムカウンターと120/220切り替えノブ。220フィルム使用時は12 枚撮りきったところでノブを回転させる
レンズのカビやクモリを確認
レンズ交換式でないので、クモリやカビに注意。レンズ外周部分でおおよその年代が分かり、写真は最後期型である


内蔵メーターはセレン
ゴッセン製である。精度を求めるより針の動きを楽しむ飾りのようなもの。メーター非内蔵タイプは3.5E2と呼ばれる
ピントの掴みやすいスクリーン
明るいとはいえないが、ピントのヤマは掴みやすい。マミヤRZ用のものをカットして使用しているユーザーもいる


カメラファンで『Rolleiflexシリーズ 』を探してみましょう!
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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