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中古カメラの買い方ガイド

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中古カメラの買い方ガイド
「欲しいカメラがあるけれど、どこをチェックして買えばよいのかわからない」「そもそもどのカメラを買ったらよいのかわからない」
そんなカメラを求めてさまよう子羊たちに、写真家 赤城耕一が購入時のチェックポイントをわかりやすく解説します。
公開日:2013/12/26

PLAUBEL makina670 はこう買いなさい

photo & text 赤城耕一

PLAUBEL makina670 (1983年)
【Spec.】
●使用フィルム:中判フィルム 120/220
●シャッター制御:機械式
●シャッター速度:1〜1/500秒、B
● レンズマウント:ー
● 露出制御:マニュアル
● 電池:SR(LR)44型電池×2個
● サイズ:W162×H120×D56.5mm、1345g

現在でも人気の高い希少価値のある一台

マミヤ7 とか富士フイルムGF670 があるというのになぜマキナ670 なのか。これはけっこう6 ×7 判という中判カメラ使いにとってセンシティブな問題である。カメラの形式は違えど、ここにペンタックス67 を加えてもいいかもしれない。

正直なところ色気のあるカメラではないのだが、なにか実直さを感じるのは事実であり、搭載されたレンズがニッコールだということもある。写りに関してはニッコールを搭載したことで間違いなしのお墨付きがついたようなものである。カメラの形式は折りたたみの蛇腹方式で、折り畳んだ状態は大型の弁当箱という感じがする。レンズがやたらと巨大にみえるが、このことが存在感を強めているようだ。フォーカシングは上部ダイヤルを操作する方式で、操作感覚的には悪くはない。シャッターの切れ心地、動作感も優しくはないけど充足感がある。



ファインダー性能は先に述べたマミヤ7やGF670 にははるかに及ばないと思うのだけど、実用上困るということはない。天才アラーキーの言葉を借りれば、「不完全さがいい」らしいのだが、もともとレンジファインダーカメラは予期しない偶然性を取り込んでしまうようなところがあるので、それを許容しないと使っていて楽しくはないものだ。

写りに関しては非常に秀逸である。周辺域までの像の立ち方とか、強さ、コントラストはツァイスやフジノンとは異なる雰囲気がある。フォーマットが大きいので、緻密な描写を求める風景写真にもよいのだろうが、マキナ670 の持つイメージは喧噪の街中での気配を捉まえるために生まれてきたような気がする。外観から受ける印象によってカメラを選択するのは悪いことではないと思っているのだが、カメラがシンプルゆえに写りに対するストイックさというか、被写体にまっすぐに向き合えるカメラという感じもするわけだ。フルメカニカルカメラゆえに、電池を必要とせず、内蔵のメーターも心許ないが、実用上は問題ない。写りではなくてカメラに対する緻密なイメージを必要とする人には用はないカメラだと思う。




蛇腹の穴開きを確認
ファインダーは独自の光路をもっている。複雑な構成ゆえに曇りが発生しているものがあるので注意したい
シャッター速度をチェック
巻き戻しクランクも小さく、巻き戻し時にはけっこうな労力を感じるほど重めだ。クランクを開くと裏蓋が開閉する





レンズのカビ、クモリ、バルサム切れ
マキナに限らず、使われずしまい込まれたまま、レンズにカビが生えたり、曇ったりするケースが多いので、レンズも点検したい
蛇腹のタスキパーツの歪みがないか
カメラの落下やショックなどによるタスキの曲がりがある個体もある。レンズの引き出し感触が極端に悪いものも注意





サビやキズにも注意
フィルム室のガードレールのサビやキズにも注意。レンズの傷みは後玉から見たほうがよくわかることが多い
見落としがちな圧板
圧板部分の状態も入念にチェックしたい。ブローニーフィルムは平坦性が悪いので、圧板の状態も重要な要素になる


カメラファンで『PLAUBEL makina 67シリーズ 』を探してみましょう!
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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