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中古カメラの買い方ガイド

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中古カメラの買い方ガイド
「欲しいカメラがあるけれど、どこをチェックして買えばよいのかわからない」「そもそもどのカメラを買ったらよいのかわからない」
そんなカメラを求めてさまよう子羊たちに、写真家 赤城耕一が購入時のチェックポイントをわかりやすく解説します。
公開日:2013/11/18

オリンパス PEN-FTはこう買いなさい

photo & text 赤城耕一

オリンパス PEN-FT (1966年)
【Spec.】
●使用フィルム:35mmフィルム
●シャッター制御:機械式
●シャッター速度:1〜1/500秒、B
● レンズマウント:バヨネット式ペンマウント
● 露出制御:マニュアル
● 電池:H-D水銀電池(MR-9)×1個
● サイズ:W127×H69.5×D32mm、600g

名機PEN F にTTL 露出計を内蔵したモデル

オリンパスのペンといえば、コンパクトハーフサイズカメラの代表格的な存在であった。フィルムが非常に高価な時代は、表示枚数の倍のショットが撮れるということでコストパフォーマンスが評価されたことが大きく、カメラ本体も廉価だったから、一般庶民の間に広く受け入れらたわけである。またフォーマットサイズの小さいことを生かして、カメラボディやレンズを小型化することができた。

ペンF シリーズはハーフサイズのまま一眼レフ化したものだが、そのフォルムは一眼レフとは思えないものであった。ペンタプリズムのでっぱりがなかったからである。ファインダーは巧みな構造で、採用されたチタン幕のロータリーフォーカルプレーンシャッターはシネカメラを参考にしているところもあるようだが、ハーフサイズは別名シネサイズとも呼ばれていたから納得できる話である。

ペンFT はTTL メーターを内蔵したもので、適宜なシャッター速度を設定して測光すると、ファインダー内に数値が指針で表示される。これはTTLナンバーと呼ばれるものでF 値とは異なる。レンズ側の絞り環にあるTTL ナンバーをファインダー表示の数値と合致させれば適正露出が得られるという仕組みだ。絞り環はF 値表示とTTL 表示のどちらかを選べる。カメラとレンズ内の連動を必要とせずTTL 化したのはちょっとした技であろう。

小型の一眼レフで収納性はよく作り込みも秀逸である。ボディ外装は真鍮製であり、質感もよい。シャッター音は大きめだが、小気味よく動作する。フィルムは横方向に送られるからカメラを普通に構えると縦位置となる。少々違和感がなくはないけど、縦位置好きの人にはけっこう嬉しい。

欠点はファインダーが少々暗いこと。とくに広角系レンズをつけるとピント合わせは辛くなるが、実焦点距離は短いので、距離目盛りをみて目測設定するという方法もある。コンパクトのペンはみな目測であるから、とくに不自然なことはない。
交換レンズはやや広角系では画角がもの足りない感じだけど、豊富に用意されていて、いずれも性能は高く、引き伸ばしにも対応する




天才設計者、米谷美久氏の手による逸品。
特異な美しいスタイルゆえフォルムはデジタルのペンシリーズにも踏襲されている。フィルム規定枚数の倍撮影できるから36枚撮りフィルムでは72枚の撮影が可能。だが、モータードライブがないため、手動巻き上げでの連続撮影は辛い。メーターのないFVもある。こちらのほうが高価。またブラックモデルも少ないので高価だ。





ファインダーのクモリを確認
ファインダーは独自の光路をもっている。複雑な構成ゆえに曇りが発生しているものがあるので注意したい
巻き戻しクランクの重さ
巻き戻しクランクも小さく、巻き戻し時にはけっこうな労力を感じるほど重めだ。クランクを開くと裏蓋が開閉する





巻き上げレバーが重い
巻き上げレバーは正常な状態でも重たい。1回の動作式で、連続撮影すると親指の腹が痛くなる
ストロボは全速同調
シャッターは高速までスリットを使わないのでストロボは全速同調するのが特徴のひとつ。日中シンクロにも役立つ

カメラファンの在庫から『オリンパス PEN-FT 』を探してみましょう。





医療の分野で活躍したモデル
オリンパスは顕微鏡や内視鏡などの医療機器分野においても有名で、メディカルモデルとよばれる専用のペンも用意された。セルフタイマーレバーやメーターを内蔵しないなど、FTとは仕様が異なる。内視鏡用のカメラはファインダーが通常のものと異なりピント合わせができないが、これを通常のファインダーに換装したモデルも稀にある。
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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