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中古カメラの買い方ガイド

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中古カメラの買い方ガイド
「欲しいカメラがあるけれど、どこをチェックして買えばよいのかわからない」「そもそもどのカメラを買ったらよいのかわからない」
そんなカメラを求めてさまよう子羊たちに、写真家 赤城耕一が購入時のチェックポイントをわかりやすく解説します。
公開日:2014/02/27

ライカ IIIf はこう買いなさい

photo & text 赤城耕一
LEICA IIIf (1950年)
【Spec.】
●使用フィルム:35mm
●シャッター制御:機械式
●シャッター速度:1〜1/1000秒
● レンズマウント:ライカLマウント
● 露出制御:マニュアル
● 電池:-
● サイズ:W136×H66×D39mm、550g
 

バルナックライカの代表作

バルナックライカの完成型、その最高峰的な存在がIIIfである。いやいや後のIIIgがあるではないかという意見もあるかもしれないが、IIIgはライカM3の後に発売されたバルナックライカのリバイバル機みたいなものだから、私の中ではさほど高い評価対象にはならないのである。たしかにIIIgは良いカメラだと思うが、ファインダーまわりなどはM3に媚びたようなところがあるのがどうも面白くない。
 IIIfはIIIcからシンクロ機能を強化したカメラとして登場してきたが、ライツのもっともよい時代に製造されたカメラということもあり、外装の材質やメッキの仕上げ、動作感触、シャッター音など、すべてにわたって優れているモデルである。よく調整されたIIIfを使用してみると、自分の指や耳が喜んでいることがよくわかる。
 ファインダーは視野は50ミリのみだし、ファインダーアイピースと距離計窓はわかれているから、撮影にあたっては少しコツが必要だが、さほど難しいことはない。もっともライカはいずれの機種でも、撮影にあたってはそれなりの練習を積む必要が出てくるはずである。
 むしろ中望遠レンズを使用した時など、その正確な測距精度に驚かされることがある。使用にあたってはフィルムのリーダー部分をあらかじめ細くカットしておくなど用意も必要である。巻き上げはノブ式なので迅速さには欠ける。どうしてもこれがイヤだという人はフィルム迅速巻き上げ装置の「ライカビット」も用意されているから、これを使用すれば欠点を補うことも可能になる。
 IIIf にはセルフタイマーがないもの、シャッターダイヤルまわりの刻印数値が赤色のものなど、いくつかのタイプが存在するが、デザイン優先でみるとセルフタイマーがないものがもっとも美しいと思うのでおすすめしたいところ。セルフタイマーのユニットがないぶん軽量である。
 中古市場では以前よりもかなり評価が低くなり、程度のよいものでも、廉価で売られていることがあるから、よく吟味して選択したい。とにかくライカの神髄をまず知りたいのだ、という人には、絶対的におすすめの機種である。


 
ファインダーの二重像のメリハリを確認
二重像が薄くなっていないか注意。アイピース部分に欠けのあるものも多いのでファインダーは入念に確認したい
巻き戻しダイヤルの歪み
フィルム巻き戻しもノブ式。時間がかかるが仕方がない。基部にあるのは距離計用の視度調整。M型ライカにない
 
ファインダーのクモリを確認
ファインダーは単純だけど、意外にも視野は正確。ファインダー倍率が小さいのでクモリのある個体だと使いづらい
美しさは“ セルフなし” に軍配
撮影した個体はセルフタイマーつき。しかし、セルフタイマーのないモデルのほうがデザイン的には美しいと思う。
 
世界中のレンズが楽しめるLマウント
Lマウントは正確には「ライカスクリュー」マウントと呼ぶ。ユニバーサルマウントであり世界中のレンズが楽しめる
それぞれの位置を確認
シャッターダイヤル部。基部はフラッシュ用のナンバーだから操作の必要はない。シャッターボタンはボディ後方にある

どこからどうみても古くさいフォルムのため、携行しているとクラシックカメラ趣味人にしか見られない。が、実用で撮影するとその機能の高さは侮れない。いや、機能というよりも人が使う精密機械とはこれだ、というプリミティブな感触
がとても魅力的。製造から年数を経ているが、メンテナンスは容易だし、完全に調整された?fはM型ライカにも負けないと思うのである。



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赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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