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中古カメラ 一期一会

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中古カメラ 一期一会
ショップのショーケースにならぶ中古カメラたち。中古カメラは1点モノで、同じ物は2つと無い。。。いまこの時を逃したら、目の前のカメラとは2度と出合えないかもしれない。全国のカメラ店と店頭で出合った魅力的なカメラたちを紹介する。
公開日:2013/12/24

心機一転、いざ東京オリンピックへ@ラッキーカメラ

photo & text 大浦タケシ
今年11月に新宿で移転し、とてもきれいなお店をオープンしたラッキーカメラに行って参りました。場所は新宿3丁目の駅近く。ライブハウスや小劇場、そして飲み屋などが連なる街です。そんな誘惑の街にあるラッキーカメラで、誘惑にけっして抗うことのない大浦タケシが、一点ものの逸品をセレクトしました。



ライカ M3
中古市場で人気の高いカメラといえば、このライカM3がその筆頭だろう。ただし、製造年代(製造番号)や状態などによって価格帯の幅は他のカメラ以上であることが多い。ピックアップした2台もボディ単体で6万円以上の開きがある。製造番号91万台のM3は巻き上げ2ストローク(写真右)、ストラップ用のアイレットも凝った初期タイプとする。何よりボディは美品クラスといってよいだろう。一方、102万台のM3(写真右)はシングルストロークで、アイレットも後期タイプとする。写真では分かりにくいが、ボディのスレも91万台にくらべると多め。ただし、どちらも機関は問題ないので、予算や好みなどからじっくり選ぶようにしたい。(写真中のプライスタグはいずれもボディ単体の価格)




ライカ M4-P 70周年記念
オスカー・バルナックがウル・ライカをつくってから70周年を記念して1983年に2500台発売された限定モデル。シルバークロームボディの背面には筆記体のライカのロゴと、70周年を記念する1913-1983の文字のほか、この記念モデル固有のシリアル番号が刻まれる。メカに関してはレギュラーモデルのM4-Pと同じで、28mmと75mmのフレームの入ったファインダーや、ワインダーの装着が可能となっている。このカメラを手に入れたら、同時に発売されたエルマリート28mmF2.8、ズミルックス50mmF1.4、ズミクロン50mmF2、テレエルマリート90mmF2.8の各70周年記念レンズを探してみるのも楽しそうだ。(写真中のプライスタグはボディ単体の価格)



ライカ IIIg
製造ロットとしては最初機にあたる82万台のIIIgだ。本モデルはM3が登場した2年後の1956年に発売を開始しているが、バルナックタイプに強いこだわりを持つ欧米のライカファンのリクエストに応えたものである。先代のIIIfと大きくことなるのがファインダー。M3同様ブライトフレームを内蔵し、ファインダー自体も拡大。ブライトフレーム用の明かり採り窓も備えている。フレームは50mmと90mmを備え、さらにパララックス補正を備えているのもバルナックライカとしては初めてであった。製造台数は4万台余り。中古市場ではIIIfほど量は多くないが、バルナック型としては最終モデルにあたることもあり、比較的きれいな個体が多いのも特徴だ。(写真中のプライスタグはボディ単体の価格)



オリンパス ペンFT ブラック+Gズイコー40mmF1.4
1963年に発売の開始された世界初のハーフサイズ一眼レフ、ペンFの後継モデルとして66年に発売されたカメラ。ペンFにCdsによるTTL露出計とセルフタイマーを載せ、フィルム巻き上げも1ストロークとしている。その他の機構についてはペンFを踏襲しており、チタン製のロータリー式フォーカルプレーンシャッターやポロプリズムによるファインダーなど同じだ。ピックアップしたペンFTはレアなブラックモデル。シルバーモデルの中古相場はこのところ熟れてきているが、ブラックモデルはまだまだ高値が続いているといったところである。Gズイコー40mmF1.4が付属する。




ライカCL 50周年記念+ズミクロン40mmF2
先に紹介したM4-Pはウル・ライカをつくってから70周年を記念したものだが、このCLはライカ最初の市販モデル、ライカI(A)の発売から50周年を記念したモデルである。発売は1975年。CLのほかにM4、M5、SL2の記念モデルも同時期に発売されている。CLについてはよく知られているとおり、日本のミノルタとの技術提携によって誕生したライカである。当時のライツ社が設計を行い、ミノルタが製造を担当。日本ではミノルタからライツミノルタCLの名で販売された。ファインダー倍率は0.6倍、基線長は31.5mmとしている。ズミクロン40mmF2はライツで設計製造されたレンズ。パンケーキタイプでCL同様コンパクトに仕上がる。




コニカ ヘキサー チタン
ヘキサーは、コニカが1992年にリリースを開始したコンパクトカメラ。当時コンタックスT2をはじめとする高級コンパクトが花盛りで、カメラメーカー各社凌ぎを削っていたことは懐かしい。ヘキサーもそんな時代に生まれた一台である。ピックアップしたカメラはそのチタン外装版で、海外向けとして95年に1000台限定発売されたもの。外装以外はレギュラーモデルと同じスペックとしており、なかでもヘキサーレンズ35mmF2.0の優れた描写特性は多くの写真愛好家から支持された。他の高級コンパクトと大きく異なるのがボディサイズで、ライバルは少しでも小さくコンパクトな方向としていたのに対し、ヘキサーはM型ライカとほぼ同じボディサイズで、その大きさが際立っていた。ストロボ付き。



ミノルタ オートコードCds
ミノルタの創業は1928年、大阪である。幾度か社名の改称を行った後、62年千代田光学精工株式会社からミノルタカメラ株式会社となった。本モデルはその3年後の65年にオートコードIIIとともに発売された2眼レフである。オートコードCdsの特徴はその名のとおりCds露出計を内蔵していること。カメラ正面上部に並ぶ2つの丸い突起、露出計用レンズと電池ボックスが他のオートコードとの違いだ。さらに撮影レンズに当時の新素材ガラスを採用するなど、高い描写特性も特徴としていた。ストラップ金具の形状が特殊なカメラだが、掲載したものには専用のストラップが付属する。このようなクラシックカメラ購入時には、付属アクセサリーにも注目したい。後から個別に購入しようと思ってもなかなか見つからないことが多く、あったとしても高価なものも少なくないからだ。




ポラロイド 180
ポラロイド社が1968年に発売を開始したカメラである。ポラロイドのなかでは数少ないプロ向けのカメラで、撮影レンズは富岡光学製のトミノン114mmF4.5、ファインダーは2重像合致式距離計連動タイプでツァイスイコン製と凝ったものとしている。また、シャッターはセイコー製で最高1/500秒を実現。最少絞りをF90とするのは、パンフォーカスでの撮影を目的としたものといわれている。実際、その描写はポラロイドカメラとして精度の高いもので、各方面で重宝されたという。ポラロイドというと中古市場ではSX-70シリーズの人気が高いが、この180も味わいあるスタイルで注目を集めることが多い。なお、フィルムは富士フイルム製のFP100Cが使用可能。(FP100Cは2013年12月現在、
富士フイルムが販売する現行品で、カメラ店や量販店で購入可能)


ショップ紹介「ラッキーカメラ」


2013年11月、新宿駅南口近くから新宿三丁目交差点近くに移転したばかりのショップである。最寄り駅は東京メトロまたは都営地下鉄線の新宿三丁目駅。ビッグターミナルの新宿駅からもさほどでもない距離である。真新しい店内は明るいうえに広く、ショーケースのカメラ、レンズをじっくりと吟味できる。品揃えに関してはライカ、ハッセルなど海外ブランドからニコンをはじめとする新旧の国産ブランドを多数取り揃える。閉店時間は午後8時。場所柄お酒の入った後にショップを覗いても、大浦タケシ及び、CAMERA Fan編集部は一切関知しない。

ショップウェブサイト
ショップ紹介ページ


スタッフさんインタビュー
当店は先の東京オリンピックの年、1964年に新宿駅前にオープンし、今年で49年を迎えるお店です。この度、新宿駅南口周辺の再開発の煽りを受け、現在の場所に移転致しました。従来同様ライカ、ハッセル、ローライのほか国産カメラも数多く取り揃えるとともに、専門知識を持ったスタッフが対応するようにしております。次の東京オリンピックが2020年に開催される予定ですが、これを機会に心機一転、頑張っていきたいと考えております。



取材日:2013年12月10日

*記事内の商品に関する情報は、取材時点の店頭での情報です。現在の価格相場や、同店や他店での販売価格、在庫の有無を表すものではありません。同名の商品をお探しの場合は、CAMERA fanで最新情報を検索するか、加盟ショップに在庫をお問い合わせください。
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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