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中古カメラ 一期一会

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中古カメラ 一期一会
ショップのショーケースにならぶ中古カメラたち。中古カメラは1点モノで、同じ物は2つと無い。。。いまこの時を逃したら、目の前のカメラとは2度と出合えないかもしれない。全国のカメラ店と店頭で出合った魅力的なカメラたちを紹介する。
公開日:2022/11/25

ファイブスターカメラ西新宿がオープン

photo & text 笠井里香

中古カメラ店の激戦区とも言うべき西新宿にオープンしたファイブスターカメラの2号店となる西新宿店。




約8年前、富山県にてインターネットでのカメラ買い取り、および中古カメラの販売業を始めたという「ファイブスターカメラ」が2022年11月11日に、中古カメラの聖地・西新宿に2号店となるショップをオープン。代表の村山弘和さんにお話をうかがいました。
※掲載した商品は、取材時に店頭に並んでいたものです。既に販売済みの可能性もございますことをご了承ください。価格はすべて税込みとなっています。


飲食店を展開する会社が母体。代表も異色の経歴の持ち主!


「ファイブスターカメラは、富山県にてネットでの中古カメラ販売を始め、当初はオンラインのみでした。その後1号店の実店舗を富山県富山市内にオープンし、西新宿の店舗は2号店となります。

私自身は、ファイブスターカメラの運営を行う飲食店を展開する会社で役員をしており、富山県の飲食店をメインとして居酒屋の店長などもやっていました。会社の都合で店舗を閉めることになった際に“カメラの仕事はどう?”とお声がけいただき、現在に至ります。

カメラのことは何も知らず、メーカーの名前さえ知りませんでしたから、手探りで学びながらやってきました。やはりカメラのことを知るには実機を触るのがいちばんで、さまざまな記事を読みながらカメラにたくさん触れ、独学で勉強してきました。」

お店で買う楽しさを独自の販売方法で。

村山さんは飲食店での接客業から、中古カメラの販売、買取業への転身という異色の経歴の持ち主。店舗ではその経験を生かした面白い販売方法を試みていました。


店内の中央にある棚。この棚のひと枠ごとに価格がついており、ワンプライスで枠内の商品すべてを購入できる。この棚の商品はジャンク品だけでなく、きちんと動作するカメラ、レンズもあり、目当ての商品以外にオマケもゲットできるという楽しい販売方法だ。


こちらは、ひとケースまるごとで3万円という価格がついている。ケースごと購入でき、希望者には配送も行っている。他にもケース内にあるものはすべて各2,000円など、掘り出し物を探す楽しさも提供したいとジャンクボックスにも面白い工夫を施している。

「私どもはネット販売からスタートし、実店舗を始めました。まだオープンして間もないのですが、お店には“実用品”をお買い求めに来るお客さまが多く、現実としては、近隣にある有名他店には敵わない面もあると思っています。西新宿という激戦区で渡り合うためには、隙間を狙っていく必要があるんです。

そこで、棚売りなど、需要があればやってみようかと始めてみました。ジャンクはジャンクの山の中から掘り出し物を見つける宝探しのような楽しさもありますし、実際、休日にジャンクボックスを2〜3時間じっくり探してくださるお客さまもいらっしゃるんですよ。

中古品を買い取り、販売するというひとつの方向性だけでなく、さまざまな方に楽しんでいただけるよう工夫しています。」

常にお客さまとの対話が必要な飲食店での接客業での経験を生かした戦略的なマーケティング、そしてお客さまのニーズに応える機動力がファイブスターカメラの魅力のひとつです。

 

珍しいものやコレクターズアイテムが集まってくる。


「新宿という、いわば中古カメラの聖地とも言える場所を選んだのは、カメラが欲しい方がいちばん来やすいところだからです。他にもたくさんのお店がありますので、ここにいれば自然に人も通りますし、見に来てくださるんです。やはりいかにお店を知ってもらうかというのがとても大切なので、場所選びはとても重要です。

私たちの店舗では、国産メーカーのお取り扱いが多いのも特徴と言えると思います。クラシックカメラというと舶来品(海外メーカー)のイメージがあるかもしれませんが、日本にはカメラメーカーが数多くありましたから、日本のカメラの素晴らしさを推していきたいと思っているんです。世界シェアの9割が日本製のカメラと聞きますし、日本の技術がここまで進歩している業界というのは誇れることです。店内の内装や装飾なども絡めて、日本ってすごいっていうことをお伝えできたらと思っています。」



店内には、和傘や扇子など、日本らしさを表す装飾が施されており、人気の日本アニメのキャラクターフィギュアなども飾られている。海外からのお客さまも少しずつ増えてきており、カメラ以外の部分からも日本の良さをアピールしている。




「オンラインでのお買い物や富山の店舗ではシニア層が多いのですが、新宿の店舗には若いお客さまもたくさんいらっしゃいますね。最近では海外からのお客さまも増えてきています。もともとオンラインショップでは関東圏からのご注文も多かったので、新宿の店舗には足を運んでいただきやすいのかもしれません。

カメラが初めてという方もいらっしゃいます。カメラ選びはもちろん、フィルムカメラであれば、フィルムの装填方法や実際の使い方もしっかりサポートさせていただきますので、初めてのカメラのご購入を検討している方にもぜひ来ていただきたいですね。

また、これは新宿ならではかと思うのですが、お客さまのお買い求めになるもののレベルが高いと言いますか、リクエストがマニアックなことも多いですね。例えばニコンのモータードライブの電池パックだけが欲しいとか、数年に一度程度しか出てこないレンズを探しているなどといった方もいらっしゃいます。そういったお客さまのオーダーにお応えできるように努力していきたいと思います。」




ライカIc型+エルマー50mm f/3.5、距離計FOKOS 14011、さらにレンズフィルターがついて194,800円。


セイキキヤノン 新標準型。キヤノンのルーツである精機光学研究所が製造したレンジファインダー機。ボディー上部に「SEIKI Canon」銘が刻まれている。当時、精機光学研究所はレンズを製造する技術を持っていなかったため、装着するレンズは日本光学(現:ニコン)から調達した。このセイキキヤノンにも民生用としては最初期のニッコール50mm f/3.5が装着されている。つまり、キヤノン&ニコンの合作であり、カメラ史的にも非常に貴重な製品。ケースも付属する。1,224,800円。


「珍しいものや、コレクターズアイテムなどが入荷することが多いことも、私どもの特徴かもしれません。非売品として店舗内に展示している、過去の試作品や、刻印ミスのあるレンズなど博物館級とも言える製品もあります。

これまで、お買い取りの際には、どういう経緯でご購入され、コレクションされていたかなど、しっかりとヒアリングをさせていただいてきました。大事にしていらっしゃるものを誰に譲るかと考えたときに、譲られるに値する人、店でありたいと思っています。

大事なものをお譲りいただくわけですし、最高の形で次の方に使っていただきたいので、調子の悪いところはメンテナンスをして販売しています。」

買い取りの際のお客さまへのヒアリングは、飲食店がメインだったという運営会社での接客業の経験が大きく生きてくる部分で、その積み重ねが、“自身の大切にしてきたもの、そしてその思いを丁寧に聞いてくれ、しっかりと理解してくれるファイブスターカメラさんに引き取ってもらいたい”と、人や物が自然と集まるようなお店に成長しています。




1978年に発売されたキヤノンA-1(17,800円)は、AE-1から始まるAシリーズの最高級機種。完全デジタル制御の電子カメラで、4LR44電池を使用する。レンズはNew FD 50mm f/1.4(12,800円)。標準レンズ中の標準レンズともいうべき、ザ・50mmである。カラーバランスにも優れ、安定した描写を得られる。



重く大きいという一眼レフのイメージを払拭するべく開発されたコンタックス Aria(58,800円)は、女性を中心に現在でも人気の高いモデル。レンズはカールツァイス プラナー50mm F1.7 T* AEJ(22,800円)。6群7枚と贅沢なレンズ構成で、色乗りもよく豊かで美しいボケが味わえる。



名だたる写真家が愛用し、中判フィルムカメラの中でもとりわけ人気の高いペンタックス67後期ボディ(65,800円)。レンズはSMC 67 90mm F2.8(65,800円)。35mm判換算で約44mmの画角で標準レンズ的な感覚で撮影できる。



オリンパスLT-1ブラウン(左:34,800円)は、ボディの外装に合成皮革を採用し、カメラとカメラケースが一体化した個性的なスタイルのコンパクトカメラ。オリンパスLT ZOOM 105ワインレッド(右:19,800円)も合成皮革の外装。クローム仕上げのレンズバリアを採用し、38-105mmの光学3倍ズームレンズを搭載している。

両カメラのレンズカバーを閉じた状態。


プライスカードもシンプルで見やすく、また商品ケースも規則的に、ほどよい間隔で商品が並べられており、各商品に対し、お客さまの視線がしっかり通るよう気を付けているそう。



代表の村山さん(左)とスタッフの曽根田さん。カメラが好きで、朗らかな人柄の村山さんの元には、同じくカメラ好きで明るい笑顔のスタッフが集まる。


スタッフ曽根田さんは、古いデジタルカメラのコレクションと、バルナックライカという異色の組み合わせで写真を楽しんでいるそう。
アップル社のQuick Take 200(左)は1997年に発売された35万画素のデジタルカメラで、フジフイルムとの共同開発で生まれたモデル。同じく1997年に発売されたNECの世界最小(当時)液晶搭載型デジタルカメラPicona(右)。185gという軽さでこちらも35万画素のCCDを搭載している。



ライカIIIc。レンズは、ズマール 5cm f2。


村山さんのカメラはソニーα7R III。これはお客さまがレンズ購入を検討する際、試写にもすぐ使用できるという理由から常に持っているそう。またAPS-Cセンサーを搭載したリコーGR IIでは、クロスプロセスモードでのスナップを楽しんでいる。
 

明るい店内に穏やかなカメラ好きスタッフが集まる。

ネットショップと富山での店舗のノウハウを持ち、激戦区の新宿に店舗をオープンしたファイブスターカメラ。きれいに陳列された商品棚、明るくクリアな照明と日本をイメージした装飾を組み合わせ、クリーンでありながらも個性的な空間を作り出しています。代表の村山さんをはじめ、スタッフの皆さんも朗らかで明るく、初めて中古カメラ店を訪れる方でも安心して買い物を楽しむことができるお店です。販売されている商品も、国産メーカーを中心に良心的な価格できれいな外観のものが多く、コレクターズアイテムやレア品まで多彩なラインナップ。初めての一台を購入したい人も、長年探しているアイテムがある方も、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょうか。

<ショップデータ>

ファイブスターカメラ 西新宿店
〒160-0023 東京都新宿区西新宿1-13-6 浜夕ビル2階
地図:Google Map
TEL:0120-07-9797
営業時間:11:00〜20:00
定休日:なし
ショップサイト: https://fivestarcamera.net/shop/
 
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