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中古カメラ 一期一会

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中古カメラ 一期一会
ショップのショーケースにならぶ中古カメラたち。中古カメラは1点モノで、同じ物は2つと無い。。。いまこの時を逃したら、目の前のカメラとは2度と出合えないかもしれない。全国のカメラ店と店頭で出合った魅力的なカメラたちを紹介する。
公開日:2012/12/04

スタイリッシュ・フィルムカメラ!@レモン社

photo & text 大浦タケシ
取材協力:レモン社・新宿店

デジタルカメラのデザインに飽きてしまい、フィルムカメラを購入する若者がいると聞きます。あ〜、なんとキケンな若者たち。銀塩カメラの魅力に取り憑かれてしまったら最後、そのスタイリッシュ、はたまたキュートなフォルムにゾッコンになってしまうはず。そして、収集癖がはじまったらあなたは立派な中古カメラ中毒患者です。
しかし、カメラとは写真を撮るための道具。スタイル重視で購入してみたものの、「フィルムがもう売っていない!」なんてことも。

今回は、大浦タケシさんがレモン社・新宿店にてスタイル重視でカメラを選び、
「フィルムが手に入れやすい初中級者向けの機種」と、
「既にフィルムが製造中止となってしまったり、手に入れづらい上級者向け機種」とに分けてご紹介します。
くれぐれも一目惚れしないようにご注意を。
(CAMERA fan編)



〜初中級向け〜
実用スタイリッシュ・フィルムカメラ編(使用フィルムが手に入りやすい機種)



アルパ10d+クルタゴン35mmF2.8
アルパはスイスのカメラメーカー。35mm判一眼レフを1990年頃まで製造していた(現在は商標を買った他の会社が同名で中判カメラを製造している)。10dは68年に製造を開始し、76年の製造終了まで4千台近くがつくられた。TTL露出計がシャッターダイヤルと連動するようになったことが特長だ。付属するレンズはシュナイダー製クルタゴン35mmF2.8。アルパのレンズといえばキルフィット製のものが有名だが、シュナイダー製のバリエーションも多い。
(アルパ製品を検索)


ミモザ I
感材メーカーであった旧東ドイツ・ミモザ社が1948年(一説には47年)に製造を開始した35mm判カメラ。同社は1893年にケルンで設立された写真感材メーカーで、ナチス時代多くのユダヤ人エンジニアが強制収容所に送られた悲劇のカメラメーカーだ 。ミモザと名の付くカメラは、このI型と49年に発売されたII型が存在するが、大きな違いは前者がコンパーシャッター、後者がプロンターシャッター(Velaxシャッターも存在する)となることだろう。貴重な1台だ。
(ミモザ製品を検索)



ゾルキー4K+ジュビター50mmF3.5
ゾルキー4Kは旧ソビエト連邦製のLマウント距離計連動カメラ。ベストセラーとなったゾルキー4の後継モデルで、フィルム巻き上げがレバー式となったことが大きな違いだ。製造初年は1972年。製造の終了する78年までの6年間に 52万5千台ほどがつくられ、こちらも旧共産圏で人気を博した。コンパクトながらずしりと重いダイキャスト製ボディとシンプルなつくりが、いかにもソビエト時代のカメラらしいところである。
(ゾルキー製品を検索)



ボルシーC
ボルシーCを製造したボルシー・アメリカ社は、ウクライナ生まれのカメラ設計技師ジャック・ボゴポルスキーが1947年に設立した北米のカメラメーカー。ボゴポルスキーは16mmムービーカメラ、ボレックスの原型となるボレックを開発するなど優秀なエンジニアであった。ボルシーCは上下像合致式距離計を搭載するボルシーBの派生モデルで、距離計はそのままに二眼レフカメラのスタイルとしている。使用フィルムは35mm。製造初年は50年で、5年間ほどつくられた。
(ボルシー製品を検索)



〜上級者・マニア向け〜
コレクション用スタイリッシュ・フィルムカメラ編
(使用フィルムが製造中止、または手に入りづらい機種)



コニレットII
コニレットシリーズは初心者用にコニカ独自のフィルムフォーマットを採用したスプリングカメラだ。ピックアップしたカメラは1957年に発売されたコニレットIIで、コパルシャッターを採用したコニター50mmF4.5を搭載する。後年、メーカーが126フィルムを使用するカメラと交換セールを行っているため、現存するカメラは少ない。ブローニーフィルムを加工すれば撮影が楽しめないわけでもないが、希少な専用のパトローネを必要とするのが難点。
 



コダックインスタマチック500、コニカサクラパック100X、ビローラビロマティックC
ここに並ぶカメラはいずれも126フィルムを使用するものだ。126フィルムは1963年コダック社の発表した規格で、インスタマチックフィルムとも呼ばれる。送り出しと巻き取りを一体としたカートリッジに幅35mmのフィルムが入っており、画面サイズは26×26mmであった。残念ながら現在は製造されていないので、これらのカメラはそのことを理解した上で購入しよう。写真のコダックインスタマチック500はドイツコダックの製品。製造初年は63年でシュナイダー製のレンズを搭載する。サクラパック100Xは70年に発売され、露出計など搭載されていないシンプルなカメラだ。ビローラはドイツの光学機器メーカーで、75年頃までカメラの製造を行っていた。ビロマティックCは68年頃に製造を行ったカメラである。




コダックベビーブラウニー、コダックビュレット
こちらはベスト判を使用するカメラ。ベスト判とは、1912年にコダックが発表した規格で、別名127フィルムとも呼ばれ、幅46mmのフィルムを使用する。120フィルムのような形態をしており、画面サイズは4×6.5cm、4×4cm、4×3cmなどがある。国内のカメラメーカーでもベスト判を使用するカメラは多数製造された。写真のベビーブラウニーは34年、ビュレットは36年に製造が開始された。いずれもエボナイト製のアールデコ調ボディが特長で、当時カメラとしては廉価なこともあり、第二次世界大戦後まで人気を博した。

★ベスト判・127フィルムは、Rollei製などいくつかのメーカーから発売されています。CAMERA fan加盟店の中にも取り扱い店舗がありますのでカメラ本体をお求めの際には、お店にお問合せ下さい。


大浦オススメ!

コーワSW
コーワSWは、28mmF3.2の広角レンズを固定装着する35mm判レンズシャッター機である。風邪薬の「コルゲンコーワ」で有名な興和株式会社の光学機器部門が1964年に製造を開始。当時、高価であった一眼レフ用の広角レンズよりもリーズナブルなプライスで販売された。ピント合わせは目測式。フォーカスリングの1mと3mの部分にクリックを備えたシンプルなものだ。撮影レンズの上にある円錐状の先端にファインダーの前玉がある。



取材協力:レモン社・新宿店
レモン社は国内外の中古および新品のカメラを取り扱うショップだ。銀座と新宿にショップを展開しており、取材をお願いした新宿店は昨年オープンしたばかり。カメラ激戦区西口に位置し、小さい店舗ながら豊富な品揃えを誇る。今回の一期一会では同ショップの珍しい中古カメラを中心に紹介しているが、ライカをはじめ人気の中古カメラも充実している。欲しいカメラに出会える可能性の高いショップだ。

「新宿店を開店しまして1年が経ちました。徐々にお客さまの認知度があがり感謝申し上げます。新宿西口には多くのカメラ店がございますが、当店も可能なかぎりお客さまのご要望にお応えしたいと頑張っております。ライカをはじめとする中古カメラの品揃えは決してライバル店に負けてはいないと自負しております。また、銀座店も含めまして、カメラのほか鉄道模型、高級腕時計、万年筆なども取り扱っておりますので、ぜひ一度足をお運びください」(レモン社・佐久間俊夫さん談)

レモン社ショップ情報
レモン社ショップウェブサイト


 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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