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中古カメラ 一期一会

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中古カメラ 一期一会
ショップのショーケースにならぶ中古カメラたち。中古カメラは1点モノで、同じ物は2つと無い。。。いまこの時を逃したら、目の前のカメラとは2度と出合えないかもしれない。全国のカメラ店と店頭で出合った魅力的なカメラたちを紹介する。
公開日:2012/07/01

マニュアルカメラでいこう!

Photo & text 大浦タケシ
マニュアルカメラの魅力とは。。。
今月は、大浦タケシさんと一緒に中野の日東商事と、高田馬場のスズキカメラ商会を訪れました。どちらも老舗でマニュアルカメラの在庫が豊富なお店です。そんなかなりコアなお店で、大浦タケシさんがクラクラっ、あるいはムラムラっと来た、機械式のカメラとレンズたち。それらは、1970年代から1980年代のフィルムカメラ全盛期に販売されていた製品です。そのデザインはいま見ても斬新で魅力的。
あるカメラは丸みを帯びて愛らしいスタイルをし、あるカメラは直線的で攻撃的なスタイル。最近のカメラのデザインがコモディティ化している中、「いまこんなスタイルのデジタルカメラを作って欲しい!」と思ってしまうような個性的なスタイルをしています。
実際に、オリンパスはフィルム一眼レフカメラ「OM」のデザインを元に、デジタル一眼カメラ「OM-D E-M5」を開発し人気を得ています。古さを感じず、むしろ新しさを感じるデザイン。時代はぐるぐる回っているようです。
それでは今月も大浦タケシさんセレクトをみていきましょう。  (CAMERA fan編集部)



キヤノンデミEE17
デミシリーズは、1960年代のハーフサイズブームに合わせキヤノンがリリースしたシリーズである。一部ラビッドフィルム仕様もあるが、純粋な135フィルムハーフサイズモデルは初号機のキヤノンデミをはじめ全6モデル。デミEE17はそのうち5代目となるモデルで、66年の発売となる。シャッター優先AEとハーフサイズコンパクトとしては大口径の部類に入るキヤノンレンズSH30mmF1.7を搭載し、人気を博したモデルだ。(スズキカメラ)



リコーFF-1
レンズバリアを下方向に開くと、それまで沈胴していたレンズがボディから繰り出すユニークなコンパクトカメラである。搭載するレンズはカラーリケノン35mmF2.8で、ピントは目測。プログラムEEを採用する。本モデルの場合、ファインダーが曇っている個体が多いが、掲載したカメラは比較的クリアだ。発売は1978年だが、なぜかこの頃、オリンパスXAやチノンベラミなどといったオリジナリティ溢れるコンパクトモデルが多数発売されている。(スズキカメラ )



リコーオートハーフE
オリンパスペンのライバルとなったハーフサイズモデル。コンパクトなボディにセレン光電池を用いた自動露出とぜんまいバネによる自動巻き上げを特長とする。1962年に発売された初代リコーオートハーフから79年発売の最終モデル、リコーオートハーフEF2までのシリーズ販売総数は600万台を超える。本カメラは、シリーズのスタンダード的存在で、前面部のアルミ板を変更した特別モデルなども多数存在する。製造初年は66年。 (日東商事)



オリンパストリップ35
ハーフサイズのペンEESをベースとしたフルサイズのEEカメラ。旅行に気軽に携帯でき、高品質な写真が旅の思い出として残せることをコンセプトとする。「トリップ」という名称もそこからきている。レンズはテッサータイプのD.Zuiko40mmF2.8を搭載。ファインダーをのぞくと4点ゾーンフォーカスの確認用の窓があるのも特長としている。製造初年は1968年。シリーズとしては1000万台を超える生産台数を記録したロングセラーモデルだ。(日東商事)



オリンパスOM-1
オリンパスの「宇宙からバクテリアまで」の理念に沿って、1972年に発売開始されたシステム一眼レフだ。設計はペンシリーズの開発に携わってきた米谷美久氏。膨大なアクセサリーも然ることながら、それまでのボディが大きく重く、作動音の大きい一眼レフの概念を一新するものであった。小型で信頼性の高さから、様々な分野で活躍したことは、記憶に新しいところ。最新のマイクロフォーサーズ機OM-D E-M5は本モデルをオマージュしたものである。(スズキカメラ )



コニカオートレフレックスT3N+ヘキサノンAR50mmF1.7
1974年に発売されたコニカのシャッター優先AE機。大柄で重厚なボディは、その当時ライバルであったオリンパスOMシリーズなどとは一線を画すものである。T3Nは、前年に発売されたオートレフレックスT3にアイピースシャッターとホットシューを追加。ペンタ部先端はそれまでの尖った三角錐に近いものから、途中で切り落とされたような台形となる。現在、カメラとまったく縁の無くなってしまった同社だが、この時代誰がそのようなことを考えただろうか。(スズキカメラ )



ミノルタSR505
メーカーロゴの下に書かれた「CLC」とは、ファインダー視野に対し上下2つの測光用CdS受光素子を配置することで、風景撮影のときなど空の明るさで全体的に露出不足なることを調整する機構のことをいう。1966年に発売されたSR-T101から採用されているもので、いわゆる分割測光の先がけともいえるものである。ちなみに、露出精度は当時としては高かったという。製造初年は75年。これ以降Xシリーズがミノルタ一眼レフのコアになっていく。(スズキカメラ )



ゼンザブロニカS2+ニッコールP75mmF2.8
1965年に発売の開始された6×6判カメラ。シリーズを代表するカメラであり、ECの登場する72年頃まで販売された。シャッターは機械式フォーカルプレーンだが、以降のブロニカは全て電子式となるので、最後の機械式ブロニカといえる。付属するニッコールもこの時代のブロニカを代表するレンズ。4群5枚のシンプルなレンズ構成ながら、当時としては高い描写特性で話題であった。写真のS2にはフードとストラップが付属する。製造初年は66年。(日東商事)



SMCフィッシュアイタクマー17mmF4
ペンタックス(旧 旭光学工業)のプラクチカマウント対角線魚眼レンズ。1971年世界初となる絞り優先AEカメラ、アサヒペンタックスESとともに発売が開始される。SMCと名が付くようにマルチコーティングが施され、開放測光対応のレンズだ。UV、Y2、O2のフィルターを内蔵するとともに、レンズ後部にはゼラチンフィルター用のフォルダーを備えるなど、コンパクトながら本格的なつくりの魚眼レンズである。(日東商事)



タムロン SP500mmF8(55B)、SP28mmF2.5(02B)
タムロンのSPシリーズは同社独自のアダプトールマウントを介することで、国内外のほとんどの一眼レフに装着でき、露出に関する情報伝達にも対応したシリーズだ。ニコンAiやペンタックスKマウントなど現在発売されているデジタル一眼レフにも装着することが可能。ズームレンズを中心に多彩なバリエーションを誇るが、ここでは数少ない単焦点レンズ2モデルをピックアップしてみた。アダプトールマウントは別売。(日東商事)



アサヒペンタックスミラーアダプターII
カメラの正面を撮るように見せかけて、横方向を撮るユニークなアダプター。鏡筒のなかに45°に傾けたミラーが仕組まれており、レンズの先端に装着することでカメラの真横を撮ることができる。正面にはイミテーションのレンズが付いており、一見普通のレンズのように見える芸の細かさは特筆すべきところだ。ただし、左右逆像で写るため、撮影にはちょっとしたコツと慣れが必要である。フィルター径49mmと58mmのレンズに対応する。(日東商事)



SMCペンタックス1000mmF8
デジタル一眼レフカメラのK-5やK-30に装着すると約1500mm相当の画角となるKマウントの超望遠レンズだ。さすがに1000mmの焦点距離となると、鏡筒全長もご覧のとおり。普段使い慣れている望遠ズームにはない、圧倒定な存在感を醸し出す。絞りはフォーカスリングと見間違うほど幅の広いもので、ピント合わせはマウント近くにあるノブで行う。金環日食は終わってしまったけど、野鳥などの撮影ではまたとないレンズかも。(日東商事)



ベセラー45MXT+dichro 45S
北米・ベセラー社の4×5対応引伸し機。同社は現在でこそ暗室関連のメーカーだが、1960年代のチャールズ・ベセラー商会時代、トプコンとのダブルネームの一眼レフカメラを販売していたことはよく知られている。この引伸し機は、ランプハウスの上下動は電動で行い、微調整は他の引伸し機同様ノブによるマニュアルとしているのが特長。さらに今回紹介する45MXTはカラーヘッドdichro 45Sを搭載しており、マルチグレードの印画紙に対応可能だ。 (日東商事)


*記事内の商品に関する情報は、取材時点の店頭での情報です。現在の価格相場や、同店や他店での販売価格、在庫の有無を表すものではありません。同名の商品をお探しの場合は、CAMERA fanで最新情報を検索するか、加盟ショップに在庫をお問い合わせください。
取材日:2012年6月26日


取材協力:日東商事

中野駅北口から約10分、ブロードウェイを抜けた早稲田通り沿いにあるのが日東商事だ。ショーケースには国内外のカメラ、レンズが一堂に並ぶ。レアなアイテムも多く、見ているだけでも楽しい。また、引伸し機をはじめモノクロプリント関連の中古も扱っており、これから銀塩プリントをはじめたいユーザーも注目しておきたいお店である。
 


取材協力:スズキカメラ商会

高田馬場駅から早稲田通り沿いに3分ほど歩くと、目指すスズキカメラ商会はある。小さな店舗ながら、国産のフィルム一眼レフとレンズがギッシリとショーケースに並んでいる様子は壮観だ。特にコニカのカメラはコンパクトから一眼レフまで充実しており、ヘキサノンレンズはないものはないほどだ。駅からも近いので、常にチェックしておきたいお店だ。
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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