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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜

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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜
「どのレンズを選ぶべきか・・・?」
それは写真を制作する者にとって永遠の課題であり、撮影に出かける前に毎回悩むところ。悩みぬいた末に「うーん、やっぱり標準ズームレンズで」なんて優柔不断になっていませんか?そんな貴方に、赤城耕一がカメラのボディごとにベストチョイスとなるレンズをご紹介します。
公開日:2013/11/06

オリンパス ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro + OM-D E-M1

photo & text 赤城耕一


オリンパスOM-D E-M1 を実戦に投入したワケ

話題の新型マイクロフォーサーズ機であるオリンパスOM-D E-M1は、すでに実戦投入中である。これまでアサインメントのほとんどの撮影はデジタル一眼レフに頼っていたわけだが、ここで明確にシステムの変更を考えたのだ。

E-M1の性能、画質云々というのは様々なところでレポートされているし、私自身も諸雑誌でレビューしているので、ご覧になった方も多いだろうしあらためて説明する必要もなかろうが、高感度領域まで申し分ない高画質だ。マイクロフォーサーズの高感度はセンサーサイズが小さいからどうのという評価はこれまであったんだけど、よほどの拡大トリミングを行うとか、レタッチで画像をいじめ抜くなんてことをしなければ、耐性は十分なはずだ。マイクロフォーサーズ用のレンズは当然、35ミリフルサイズ用レンズと同画角で比較すると焦点距離が短くなるため被写界深度が深くなるわけだが、これはひとつの特性として考えて応用するべきであろう。


すべてのズイコーを覚醒させる

E-M1のよいところはフォーサーズレンズをアダプターで使用しても、像面位相差AFによってストレスのなく使用できることだ。また画像エンジンTrue PicVIIのファインディテールII処理が行われるのでレンズ個々の倍率色収差や絞り設定による性能を加味した画像処理が自動的に行われる点である。つまり装着レンズの実力を存分に発揮させることができるのだ。「すべてのズイコーを覚醒させる」これはE-M1のキャッチコピーなんだけど、なるほど説得力あるぜ。


フォーサーズアダプター MMF-3
フォーサーズ規格のレンズを、マイクロフォーサーズ規格のボディーに装着するためのマウントアダプター
防塵・防滴性能を備える。

オリンパスはフォーサーズレンズに対しては俗にいわれる「松」「竹」「梅」みたいに「スタンダード」「ハイグレード」「スーパーハイグレード」と分類、マイクロフォーサーズ用レンズとしては 「Mズイコー」「Mズイコープレミアム」「Mズイコープロ」とレンズのランクを明確にしているのだが、その性能差異というのは言われるほど実用上は大きくはない。これまでのフォーサーズレンズを使っている人でE-M1を導入する人は処分しないでマウントアダプターMMF3での使用をおすすめする。

そして、オリンパス OM-D E-M1で使いたい1本のレンズ・・・

ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro



E-1からのオリンパス一眼レフユーザーである私なので、フォーサーズレンズの所有本数もかなりある。このうちE-M1導入にあたり、再びレンズシステムを見直している最中なのだが、気になるのはマクロレンズだ。これまではズイコーデジタル50ミリF2.8マクロを使用してきたのだが、35ミリ判換算で100ミリ相当の画角と、中望遠相当でマクロ撮影時には使いやすいんだけど、普段のお気軽歩きに携行するにはどうもなあ思っていた。M.ズイコーデジタルのラインナップでもマクロレンズは60ミリで、パナソニック製も45ミリとこれもまた少々画角が狭い。私は標準レンズ画角相当のマクロレンズが欲しいのである。

そこで見つけましたね。というか、前から日陰の身みたいな存在で目立たないかわいそうな存在だったんだけど、ズイコーデジタル35ミリF3.5マクロを。

レンズ構成は6群6枚。最短撮影距離は0.146mで最大撮影倍率は1倍(35ミリ判換算で2倍相当)。重量は165グラム。35ミリ判換算相当で70ミリの画角として使えるので、標準レンズよりちょっと長いが、町歩きにも使えてしまう。実焦点距離が短いからパンフォーカス撮影もラク。F値は少々暗めだからインパクトないんだけど、ムリがないという性能の安心感に繋がるわけで、もちろんE-M1のEVFではファインダーの暗さ云々という影響もない。
オリンパスのレンズ分類では「スタンダード」に属する。もちろん構成枚数が少ないから性能劣るわけじゃないですよ。オリンパスが公開しているMTFチャートをみると(メーカーサイト参照)天井に貼り付くくらい素晴らしい。気に入らないのは距離指標はないし、鏡胴の作りも高級とは言い難いこと。防塵防滴でもありません。だけどかつてのOMズイコー50ミリF3.5とデザインと仕様が似ているのがスキ。実際に使用してみるとたいへん使いやすいレンズだ。大きな声では言えないけど、中古だと激安。呑みに行くのを三度ガマンすると購入できるかもしれない(笑)


雨中の悪条件下で撮影したのだが、ウエットな雰囲気がそのまま出ていることに驚く。傘をさして、片手で手持ちで撮影したのはちょっと反則かなあと思ったんだけど、E-M1は5軸手ブレ補正が強力だから何の問題もない。
オリンパスOM-D E-M1 + ズイコーデジタル35ミリF3.5マクロ  絞りf4  AE  ISO400  AWB  RAW



<メーカーサイト>
ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro
http://olympus-imaging.jp/product/dslr/lens/35_35-macro/index.html

フォーサーズアダプター MMF-3
http://olympus-imaging.jp/product/dslr/mlens/mmf3/

カメラファンで「ZUIKO DIGITAL 35mm F3.5 Macro 」を検索してみる
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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