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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜

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The Best LENS 〜このボディで使いたいレンズ!〜
「どのレンズを選ぶべきか・・・?」
それは写真を制作する者にとって永遠の課題であり、撮影に出かける前に毎回悩むところ。悩みぬいた末に「うーん、やっぱり標準ズームレンズで」なんて優柔不断になっていませんか?そんな貴方に、赤城耕一がカメラのボディごとにベストチョイスとなるレンズをご紹介します。
公開日:2014/09/20

SONY α7 + VM-Eクローズフォーカスアダプター+Nikon Sレンズ & CONTAX Cレンズ

photo & text 赤城 耕一


ソニーα7シリーズはあらためて言うまでもないだろうが、35ミリフルサイズセンサーを搭載したミラーレス機であり、非常に高いクオリティの画像を得ることができることで知られている。一方で、クラシックレンズ愛好家からも高い人気を集めているのは周知のとおりだ。サードパーティ製の各種のアダプターを使用し、クラシックレンズを装着することができ、しかも35ミリフルサイズであるからレンズ本来の性能を画面四隅まで余すことなく引き出すことができるということが高い人気の理由だ。
コシナも早い時期からライカM互換マウントレンズをα7シリーズで装着することができるアダプターとして「フォクトレンダー・VM-E クローズフォーカスアダプター」を用意している。
アダプターには4ミリの繰り出し量のあるヘリコイドを内蔵し、Mシリーズライカよりも近接撮影を可能としているので新しい世界をみることができる。他のアダプターと比較し、やや高価な価格設定ではあるものの、全体の作り込みやデザイン、フォーカスリングのトルク感は絶妙であり、一度使用してしまうと他のアダプターは使う気にならないほど優れている。
さらにVM-Eアダプターにヘリコイドがあることを生かし、登場してきたのがS-VMアダプターとC-VMアダプターの2種だ。



コシナ・フォクトレンダーVM-Eクローズフォーカスアダプター。4ミリのヘリコイドの伸縮がある。フォーカスリングの動きは滑らかで、さすがコシナの工作精度の高さを知ることができる。


S-VMアダプターとC-VMアダプター。単なる金属の輪っかだけど、表面の加工が美しい。レンズ装着金具も従来のマウント基部のデザインを生かすという凝り方。ニコンSとコンタックスマウントの形式はほぼ同じだが、ガタつきを許したくないということでそれぞれのアダプターが用意された。 左がニコンS用で前面が黒色、右はコンタックスC用でシルバー色となっている。



VM-EクローズフォーカスアダプターとS-VMアダプターを連結した状態。かちっというロック音がして確実に装着される。二重連結になるが遊びが一切ない。
VM-Eクローズフォーカスアダプター+C-VMアダプターにフォクトレンダーヘリアー50mmF3.5レンズを装着したところ。このままEマウントカメラに装着することができる。慣れるとEマウントのMFレンズという感覚で使用することができる。

レンジファインダーのニコンSマウントまたはコンタックスCマウントの“内爪”と呼ばれるヘリコイドを内蔵せず、フォーカスリングのないタイプのレンズをMマウントに変換、ここにVM-Eクローズフォーカスアダプターのフォーカスリングを連結することでα7シリーズでの撮影を可能にしている。もちろん近接撮影能力にも優れていることは言うまでもない。
S/Cレンズはこのアダプターの登場によってα7シリーズに使うことができるようになり、再び新しい命を得たわけだ。なお、VM-Eアダプターを介さず、ライカボディに装着することも可能ではあるが、この場合は距離設定は無限遠に固定される。



ゾナー5センチF2


コンタックスIIa時代の代表格ともいえる作り込みのよい標準レンズ。非常に鮮鋭度の高い写りだが、通常の至近距離を越えたためか、やや画質の均質性とコントラストが低めだが実用上の問題はない。合焦点はすばらしくシャープである。光線状態が良く若干絞り込むことで全画面にわたり破綻のない描写をする。C-VMアダプターは基部が白仕上げなので違和感がない。


α7 ゾナー50mmF2 VM-Eクローズフォーカスアダプター+C-VMアダプター使用 絞りf4  AE AWB ISO400


ニッコール5センチF1.4


ゾナー5センチF1.5をベースにF1.4の明るさにしたSマウント標準レンズ。工作がキレイ。発売時はツァイスからデッドコピーをしたとクレームがついた。これは初期タイプのもの。開放時のハイライトは滲んだようなハロが出るし、ボケにもクセがあるけど、個性と考えれば悪くはない。


α7 ニッコール5センチF1.4 VM-Eクローズフォーカスアダプター+S-VMアダプター使用 絞り開放AE AWB ISO400


ニッコール50ミリF1.4(復刻版)


ゾナータイプの前レンズから、ガウスタイプに設計変更。ニコンオリジナルの設計当初はニコンS3のブラック(通称オリンピックモデル)と組み合わせて発売されたが、このレンズはミレニアム記念として登場したニコンS3 2000モデル用に復刻されたもの。最新のコーティングが施されている。順光では突き抜けるようなシャープネスを誇るが、逆光時はやや線が太い。S系ニコンと組み合わせるとおじぎしたようになり、いささかバランスが悪いがα7では問題はない。階調の再現のよいレンズだ。



ソニーα7 ニッコール50ミリF1.4 VM-Eクローズフォーカスアダプター+S-VMアダプター使用 絞りf8 AE AWB ISO200


マイクロニッコール5センチF3.5


複写、拡大写真用のために開発されたマクロレンズ。開放から鮮鋭なレンズだが、現代の認識からすればやや硬めの調子。現行のマクロレンズと異なりボケ味には配慮はないといわれる。たしかにボケは重たい感じはあるけど言われるほど悪くはない。絞り開放からかなりの高画質を誇り、コントラストも高い。わずかに温調だが、もちろんデジタルでは補正も容易。

α7+マイクロニッコール5センチF3.5 VM-Eクローズフォーカスアダプター+S-VMアダプター使用 絞りf3.5  AE AWB ISO400


コシナ・フォクトレンダー ヘリアー50ミリF3.5


ベッサT101記念モデル登場時にキットレンズとして登場。これをSマウント化したものが少数海外において限定発売。マウンテンエルマーの先端だけを取り外したような特異なデザインが美しい。明るさを抑え、最新のコーティングを施した現代設計。開放から秀逸な画質。


ソニーα7 コシナ・フォクトレンダー ヘリアー50ミリF3.5
VM-Eクローズフォーカスアダプター+S-VMアダプター使用 絞りf4  AE AWB ISO400


【メーカーサイト】
コシナ
http://www.cosina.co.jp/

フォクトレンダー VM-E クローズフォーカスアダプター
http://www.cosina.co.jp/seihin/voigt/acce/adapter/vm-e.html

S → VM Adapter / C → VM Adapter
http://www.cosina.co.jp/seihin/voigt/acce/adapter/s-c-vm.html
 
赤城耕一
東京生まれ。出版社を経てフリー。エディトリアルやコマーシャルの撮影のかたわら、カメラ雑誌ではメカニズム記事や撮影ハウツー記事を執筆。戦前のライカから、最新のデジタルカメラまで節操なく使い続けている。

主な著書に「使うM型ライカ」(双葉社)「定番カメラの名品レンズ」(小学館)「ドイツカメラへの旅」(東京書籍)「銀塩カメラ辞典」(平凡社)

ブログ:赤城耕一写真日録
 
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