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銀塩手帖

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銀塩手帖
フィルム、銀塩写真に関する情報を記録していきます。
公開日:2015/06/11

「中古3000円縛り 駄カメラ写真グループ展」 @レンタルギャラリー&暗室&カフェ・バーPaper Pool

CAMERA fan編集部


東京・祐天寺にあるレンタル暗室&ギャラリー&カフェ・バーの「Paper Pool」にて、6月10日から21日まで、「中古3000円縛り 駄カメラ写真グループ展」が開催されています。
この写真展は、20名のカメラマンが3,000円以下で購入した中古カメラで、撮影、制作した写真作品を展示する企画。写真家の赤城耕一氏や、森谷修氏、俳優の石井正則氏が参加しています。

『駄カメラ』ってなに?と思われる方も多いと思いますが、これは石井正則さんの造語で、「まだまだ使えるのに中古カメラ屋の片隅で誰にも見向きもされないようなカメラのこと」を指すそうです。




展示されている作品を観ると、これが本当に3,000円以内で買ったカメラで撮られた写真なのか? と目を疑いました。テーマ、作風も様々ですが、それぞれ作者が意図を持って作品を仕上げられています。ある作者は、古いカメラとレンズのソフトな描写を活かした作品を、ある作者は古いカメラなのにパリっとシャープな現代レンズのような作品。これらを観ると、「名作は価格の高いカメラだけから生まれるものではない」ということに気付かされます。

以下は、出展者のひとり赤城耕一さんの言葉です。

「3,000円の駄カメラで撮影したからこそ、こういう写真が撮れましたよという写真は一つもありません。このことが駄カメラを使うメソッドであり、参加者の意識であり、この写真展のテーマなのかもしれません。つまり、写真の良し悪しはカメラの性能に依存することはなく、撮影者の感覚と創意工夫によって生まれるという写真制作の本質をついたものとなっているわけです」



【展示情報】
「中古3000円縛り 駄カメラ写真グループ展」
会期:2015年6月10日(水)〜21日(日)
住所:東京都目黒区祐天寺2-16-10 たちばなビル2階 Paper Pool
TEL : 03-3713-2371

出展者一覧(順不同・敬称略):
寺倉郁哉、宝槻 稔、森谷 修、越川操市、Saori Misawa、Hiroki Tachibana、大沼秀璽、磯野靖雄、小池貴之、大屋直弘、砂田陽一、赤城耕一、藤原 敦、石井正則、上田健次、加藤輝和、楢林洋介、那須 潔、佐久間 元、狐塚英雄

◯Paper Pool Facebookページ イベント情報
 https://www.facebook.com/events/929150890468480/



このギャラリーには、レンタル暗室があります。さらにカフェ・バーが併設されていて、ギャラリースペースのとなりにバーカウンターがあります。聞き慣れた声が聞こえたので振り返ると。。。






あら!?赤城耕一さん?

その隣には、同じく写真家の森谷修さんと上田健次さん。
今回の出展者の皆さんがカメラを手に盛り上がっています。




2014年9月にオープンしたばかりのこのお店は、写真家の隠れ家になりつつあるようです。外はまだ若干明るいようですが、みなさんキャンパイされております、いいなあ〜。

せっかくなんで、今回の作品を撮られた3,000円以下の中古カメラを見せていただきました。



赤城耕一氏のカメラ


minolta HI-MATIC F
1972年発売の35mm判フィルムカメラ。レンズはROKKOR 38mm/F2.7を搭載。
プログラムEEによりオートマチックで撮れる。赤城さんは、ストロークの短いレリーズボタンがお気に入り。






森谷修氏のカメラ


Kodak Brownie HawkEye
1949年発売ベークライト製ボックスカメラ。画面サイズは6×6のスクエア。フィルムは製造中止となっている620サイズ。使用するには、120ブローニーフィルムを専用のスプロケットに巻き直す必要があり、かなり上級者向け。シャッタースピードは1速とバルブのみ。絞り値も不明。プロの森谷さんでも使いこなすまでにかなり苦戦したとのこと。




上田健次氏のカメラ


Canon EX Auto EX50mm f1.8
1972年発売 35mmフォーカルプレーンシャッター式一眼レフカメラ
TTL開放測光、シャッタースピード優先式のAE一眼レフ。レンズの前玉を交換する「前群交換式EXマウント」を採用、交換レンズとしてEX35mm F3.5、EX50mm f1.8、EX95mm F3.5、EX125mm F3.5が用意された。 ファインダーは空中像方式で真ん中でしかピントを合わせることができない。
上田さんは、子安のペンギンカメラで現状品を2,160円で購入。現状品というのは、故障箇所があるが修理はせずに、現状のまま売っているという品で、この個体は絞りが故障していて、今回はすべて開放絞りで撮影したそうです。






写真好きが至福の時間を過ごせる隠れ家「Paper Pool」について


オーナーの狐塚英雄さんにこのお店をつくった経緯とコンセプトについて聞いてみました。


オーナー 狐塚英雄氏


◯レンタルギャラリー&レンタル暗室&カフェ・バーという面白い組み合わせのお店を開くきっかけは?


狐塚「実は消極的な理由なんです。長いこと企業に勤めていましたが、リーマン・ショックのあとに職を失ってしまったんです。それでしばらくの間のんびりしていたんですけど、その頃、健在だった父に「そろそろ働けよ」って言われて、さあどうしたものかと考えました。

そして、自分が「できる事リスト」を書き出してみました。靴磨きから、役所に提出する文書作成や、株のチャートを見ることまで、とにかくざっとリスト化しました。
その「できる事リスト」のなかで、ちゃんとお金になる仕事、そして自分が心からやりたいと思うことだけを残して、他は線を引いて消してしていきました。

最後の残ったのは、「飲食」「ギャラリー」「暗室」でした。この3つだったらやってもいいかなぁと思って、3つの要素をひとつにしたお店をつくろうと思ったんです。

でも、夢を描いてやる気満々ではじめたわけじゃないんですよ。ほら、飲食だったら、食事には困らないでしょう。そんな感じでゆる〜くはじめてなんとかここまで来ました」



◯写真をはじめたのはいつですか?


「写真は、高校の時にはじめました。でも、マジメにやっていませんでしたよ。暗室でタバコを吸うために出入りしていただけの帰宅部です(笑)
その後も、趣味で続けていたようにも思えませんし、なんかあまり一所懸命やったことはないんですよ。ぜんぶ惰性でね(笑)写真家になろうと思ったこともないんですよ、たいへんそうだし(笑)」

と謙虚に語るが、今回出展してある狐塚さんの写真を見ると、素人が撮ったようには見えない。



レンタル暗室
引き伸ばし機は、LPL システム引伸機7700プロ が2台完備。35mmフィルムから6×7判を半切までプリント可能。4×5用の引き伸ばし機もあるが、使用の際にはセッティングが必要なため要相談。引き伸ばし機の向いには、水洗用のシンクがある。その他の設備として、プリントドライヤー(RCペーパー用)、ドライマウントプレスがある。暗室のレンタル料金は、1,080円/時間(※3時間以内の利用の場合、1,420円/時間)この他に、廃液処理料 550円/1日、水洗代 1,000円が必要。 印画紙の販売はしておらず、利用者が要持参。なお、暗室のレンタルは一見さんはお断りしているとのこと。Paper Poolに来店して狐塚さんが一度はお話した人に使ってもらいたいそうです。こういったこだわりも、このオリジナリティ溢れるお店の特徴といったところでしょうか。

◯「Paper Pool」という店の名前の由来について


アメリカ在住の画家であるデヴィッド・ホックニーに「Paper Pools」というシリーズがありまして、僕はとても好きだったんですね、さらに私が大好きな作家の片岡義男さんの著作にもホックニーから取った「紙のプールで泳ぐ」という短編集があり、これもまた大好きで、由来はそんなところです。

でも、写真関係の方が店の名前を聞いたら「ああ、水洗バットに入った印画紙でペーパープールね」と想像するでしょうから、それはそれで「ええ、そうなんでよ〜」と答えています(笑)





◯お店のサービスについて


「ギャラリーはオープンスペースなので、出入り自由です。別にワンドリンクお願いすることもありません。
カウンターはパブリックスペースだから、席に着く以上何かを注文して頂きます。
暗室はプライベートスペースなので、暗室の使用だけを目的に来る人には貸さないことにしています。
暗室は、作品制作するにふさわしいほどの設備でもないですし、やっぱり暗室好きの人って設備や、機械の精度など、こだわる人がいらっしゃいますから、そういう方は、プロラボに行くことをオススメします。
うちは、ウチはちょちょっと焼いて、そのままビール飲めるのが良いよね、って人に使ってもらえたら良いかなと思ってます。 プロラボはハードルが高いという初心者に、暗室作業に触れてもらいたいなあと思っています。

ギャラリーは、一般の方にお貸し出ししています。一応審査という形で、事前に作品を見せて頂いて、うちの店の雰囲気に合うかどうか検討させて頂いています。」


編集部が訪れた感想

「なんか落ち着く写真のある場所」
写真があり、暗室があって、良い音楽が流れていて、カメラの話をしながらお酒が飲める。オシャレなんだけど堅苦しくはない。そして、料理がたいへん美味しかったです。
オーナーの狐塚さんは、「あまり難しいことを語るマニアのたまり場にはしたくない。もっと誰でも気軽に写真に触れ合えるような場所にしたいんです。」と言うが、写真好き、カメラ好きにはたまらないお店です。ぜひ皆さんも一度訪れて頂きたいと思います。
今後も写真展の情報は、ツイッターやFacebookページで発信していくという。ギャラリーと暗室の利用料などは、ウェブサイトをご確認のうえ、お店に問い合わせてから来店されることをオススメします。



「Paper Pool(ペーパープール)」

【営業時間】
火曜〜土曜 15:30〜23:00
日曜 12:00〜17:00
(※展示のない週の火〜土は17:00オープン)

定休日:月曜(臨時休あり)

東京都目黒区祐天寺2-16-10
たちばなビル2階
TEL : 03-3713-2371

◯公式サイト
http://www.paper-pool.com/index.html

◯公式FBページ
https://www.facebook.com/paperpool2014

◯ツイッター公式
https://twitter.com/Paper_Pool




<レンタルサービス利用料>



□ギャラリーレンタル料金
レンタル料 : 45,000円(税別)/ 6日間(火曜日〜日曜日)

□暗室レンタル料金
暗室利用料 1,080円/時間(※3時間以内の利用の場合、1,420円/時間)
この他に、廃液処理料 550円/1日、水洗代 1,000円が必要。
RCペーパー乾燥 無料(セルフサービス)
フラットニング 暗室利用分については10枚まで無料。(スタッフが作業)

<カメラファンがオススメする書籍>

 
IDEA of Photography 撮影アイデアの極意」南雲暁彦・著


「個性あふれる"私らしい"写真を撮る方法」野寺治孝・著

これからフィルムカメラをはじめたい人のためのガイドブック

フィルムカメラ・スタートブック」大村祐里子・著
 
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