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銀塩手帖

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銀塩手帖
フィルム、銀塩写真に関する情報を記録していきます。
公開日:2017/09/22

北の大地にニコンと共に45年 札幌・IMAI collection(イマイ・コレクション)

photo & text 中村文夫

IMAI collection(イマイ・コレクション)

IMAI collectionは、北海道在住の今井貞男さんが45年を費やして集めたカメラコレクションだ。コレクションルームは札幌市時計台の近くにあり、所蔵するカメラは2800台以上。展示ケースの総延長はなんと170メートルもある。


IMAI collectionの入口。
個人コレクションのため普段は非公開。

 
ちなみに品川のニコンミュージアムのカメラ展示コーナーの長さは15メートル。この数字を比べるだけでも、IMAI collectionの凄さがお分かり頂けるだろう。
 

世界的なニコンコレクターのコレクション

今井さんは世界的なニコンコレクターとして知られ、ニコンカメラの第1号機であるニコンI型に始まり、最新のデジタルカメラまで、ほとんどすべてのニコン製カメラを所有。交換レンズやアクセサリー類も充実し、ニコン本社にない貴重な商品も多数あるという。また、ニコンのロゴが入ったものは何でも集めるのがモットーで、販売促進用のノベルティグッズもコレクションの対象だ。


ビルの3フロアーに渡るコレクションのうち、1フロアーをニコン製品が占める。写真はニコンFシリーズの展示コーナー。バリエーションの違いなども含め、同じ機種でも複数のカメラが並ぶ。
 

ニコン以外のコレクションも

ニコン以外ではライカ関係のコレクションも圧巻。さらにリンホフ、ディアドルフを始めとする大判カメラ、ハッセルブラッド、ローライなどの中判カメラのほか、日本製の一眼レフやコンパクトカメラなど、世界中のクラシックカメラを網羅。個人コレクションの範疇を超えた、第一級のカメラ博物館と言えるだろう。


ライカ展示コーナー


リンホフ、ディアドルフ等の大判カメラ、ハッセルブラッド、ローライ等の中判カメラの展示コーナー
 

ニコン100歳を記念した特別公開

個人コレクションなので基本的に非公開だが、ニコンが今年で創業100年を迎えたことから、9月9日に「ニコンの100歳を祝う集い」を開催。これに合わせて一般公開が行われ、今回の取材が実現した。


9月9日に札幌で開催された「ニコンの100歳を祝う集い」で祝辞を述べる日本カメラ博物館の市川泰憲さん(左)とIMAI collectionオーナーの今井貞男さん(右)。看板にNikonのロゴがある通りニコン公認のイベントで、ミスターニコンこと後藤哲朗さんをはじめ、カメラ業界の有名人が多数参加して開催された。

 

<展示紹介>


ニコン S3M
ニコンS3の画面をハーフサイズに変更、モータードライブで最高6コマ/秒の撮影ができる。




Sシリーズ用ステレオ撮影装置
レンズ単体ではたまに見掛けるが、アクセサリー類がすべて揃った完品は非常に珍しい。IMAI collectionの底力を示す所蔵品と言えるだろう。




純正アクセサリー
元箱入りのモータードライブやファインダー関係のアクセサリー。




フィッシュアイ ニッコール6ミリ F2.8
220度という驚異的な画角を持つ円周魚眼レンズ。中古市場で1000万円を超える高値が付いたことで有名なレンズだ。




レフレックス ニッコール 2000ミリ F11
市販されたニッコールレンズのなかで、いちばん焦点距離が長い超望遠レンズ。このレンズも中古市場では数百万の値段が付く貴重品だ。




Ai ズームニッコール ED 1200-1700ミリ F5.6-8P (IF)
報道用に開発された超望遠ズームレンズ。受注生産で定価は600万円。




ニコン煎餅
20年ほど前までニコン社内の売店で販売されていたニコン煎餅。東京・大井町の菓子店が作っていたが、廃業したため今では入手不可能。




ニコン100周年記念商品
ニコン100周年を記念して発売された限定商品もすでにコンプリート。




ライカ IIIfのフルセット
専用ケースに収まったライカIIIfのフルセット。セットで購入したのではなく、コツコツとアクセサリー類を買い集めて完成させたという。まさにミスター・コンプリートという異名を持つ今井さんならではのコレクションだ。




コンタフレックス
世界で初めて電気露出計を内蔵した35ミリ二眼レフ。
左から135ミリ、85ミリ、50ミリ、35ミリとすべて異なる焦点距離のレンズが付いている。

 

生まれ故郷に新しいコレクション展示施設を建設中

自動車、オーディオ、通信機、工作機械など、今井さんの趣味は多岐に渡り、現在、生まれ故郷の上川町に、これらコレクションをまとめて展示する施設「横道の館」を建設中だ。

来年のオープンを目指しているが、従来通り一般公開は行わない予定。ただし今回のようなイベントの開催に合わせ特別公開日を設けるアイデアも。この件については、新しい情報が入り次第、本サイト「Camera fan」内でも紹介することにしたい。

*IMAI collectionは、個人コレクションのため普段は一般公開されていません。



中村 文夫(なかむら ふみお)

1959年生まれ。学習院大学法学部卒業。カメラメーカー勤務を経て1996年にフォトグラファーとして独立。カメラ専門誌のハウツーやメカニズム記事の執筆を中心に、写真教室など、幅広い分野で活躍中。クラシックカメラに関する造詣も深く、所有するカメラは300台を超える。日本カメラ博物館、日本の歴史的カメラ審査委員。
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