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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2014/05/20

ニッシンジャパン クリップオンストロボ i40

photo & text 大浦タケシ
カメラにi40を装着した状態。本テキスト執筆時点でのi40の実勢価格は、同社通信販売サイト、ニッシンデジタル・ダイレクトで21,570円(税込)

ニッシン「i40」が先般リリースを開始した。今年2月開催のCP+2014同社ブースで大々的に展示されていたので記憶ある読者もいることだろう。手もとに実機が届いたので、その詳細を見てみることにしよう。

本モデルのトピックといえば、コンパクトなボディに、上位モデル並の性能と機能を詰め込んでいることだ。実際、バッテリーに単三形乾電池4本を使用するが、ストロボ本体部は電池を入れるスペース以外はないといってもよいほどのサイズ。発光部にしても似たスペックを持つ他のストロボとくらべると驚くほど小さい。ガイドナンバーは照射角105mmの場合40、35mmでは27とする(いずれもISO100・m)。晴天屋外でのポートレートに挑戦してみたが、光量は十分。発光量が増すとどうしてもストロボは大きくなる傾向があるが、i40にはその定説は当てはまらない。



i40背面
バッテリーは単三形乾電池4本を使用。この写真を見ると本体がいかに小さいかが分かる。

チャージ速度はクラスを考えれば不足のないもので、ストレスが溜まるようなことはないだろう。照射角はフルサイズの場合で焦点距離24mmから105mmまでをカバーする。さらに、発光部は上方向に90°、左右それぞれに180°可動。コンパクトなストロボの場合、上方向に照射できるものは多いが、左右方向までできるものは少ないので貴重な存在といってよい。もちろんカメラを縦位置としたとき、横位置同様バウンス撮影が楽しめる。



発光部は上方向に90°可動する。水平から垂直になるまで途中3箇所にクリックストップが備わっている。






発光部は左右それぞれ180°可動する。真正面から真後ろになるまで途中5箇所にクリックストップが備わる。縦位置でのバウンス撮影も可能とする。
 

小さいながらもワイヤレスTTL発光に対応しているのもこのストロボのスゴい部分。オフカメラによるストロボライティングによって、表現の幅が格段に広がる。カメラを被写体にi40を1灯使い、ワイヤレスTTLによる物撮影にも挑戦してみたが、正確な発光で結果も上々だ。こちらもポートレート同様作例を掲載するので見て頂きたい。また、複数のi40を使う場合、A/B/Cの3つにグループ分けができ、光量を調整することも可能。より本格的なライティングが楽しめる。さらに、スレーブ機能は旧来のストロボの発光に同調するアナログスレーブのほか、最新のストロボの発光にも同調するデジタルスレーブも搭載していることもありがたく感じられる。


ストロボの本体背面はオン/オフボタンのほか、モードダイヤルとパワー調整ダイヤルとシンプル。操作は直感的で初見でも扱いやすい。

操作が直感的でカンタンなのもi40の秀でたところだ。機能の設定に関してボタンの長押し操作が必要だったり、設定を確定するためにいちいちOKボタンを押さなければならない面倒なストロボが多いなか、本モデルではモードダイヤルとパワー調整ダイヤルにより初見でも説明書なしに、しかも速やかに操作できる。ダイヤルのクリック感も心地よく、設定状況を一目で確認できるのもよい。液晶パネルとボタン操作による設定方法を否定するつもりはないが、ダイヤルならではのシンプルな操作性はやはり一日の長があるといってよい。



フルサイズ判で焦点距離16mmに対応するワイドパネルを内蔵。写真は発光部に装着したところ。
キャッチライトパネルを引き出したところ。縦位置用があるとより便利だったことだろう。



ディフューズキャップも付属する。i40用のポーチに収納できるが、その際、裏技としてこのディフューズキャップのなかに予備の単三形乾電池4本も収納できる。
ポーチにはi40のほかディフューズキャップとミニスタンドが収納可。ベルト穴とカラナビを装備する。

そのほかとしては、発光部にワイドパネルとキャッチライトパネルを内蔵する。LEDビデオライト機能も搭載するほか、マニュアルズームにも対応とまさに至れり尽くせり。クリップオンストロボに求めるものが、このわずか203g(電池除く)のなかに、ぎゅっと凝縮されている。さらにキャッチライトパネルを引き出したままでも装着できる専用ディフューズキャップと、そのディフューズキャップを含めたすべての付属品が収納できる専用収納ポーチも付属する。



キャッチライトパネルを引き出すと、マニュアルズームガイドが現れる。マニュアルズームの設定は、電源ボタンの長押し操作で行う。
ミニスタンドも付属。裏側には三脚ネジ穴を備える。ミニスタンドはストロボといっしょにポーチに収納できる。


【ニッシンジャパン i40 作例】

逆光でもストロボがあれば恐くない。特にレフ板を持ってくれるひとがいない場合など効果的だ。
EOS 5D Mark III・EF50mmF1.8・絞り優先AE(絞りf5.6・1/200秒)・WBオート・ISO100・JPEG  モデル:池田静香



露出補正をマイナス側に、調光補正をプラス側に設定し日中シンクロを行えば独特の仕上がりに。そんな撮影も光量の強いi40なら手軽に楽しめる。
EOS 5D Mark III・EF17-40mmF4L USM・プログラムAE(絞りf18・1/200秒)・WBオート・ISO100・JPEG モデル:池田静香


EOS 5D Mark III・EF17-40mmF4L USM・プログラムAE(絞りf18・1/200秒)・WBオート・ISO100・JPEG モデル:池田静香


上下の写真共に市販のソフトボックスにi40を装着し、ストロボ1灯での撮影。もちろんオフカメラ(ワイヤレス発光)としている。コンパクトなストロボだが、その実力は侮れない。
EOS 7D・EF24-105mmF4L IS USM・マニュアル(絞りf11・1/250秒)・WBオート・ISO100・JPEG


EOS 7D・EF24-105mmF4L IS USM・マニュアル(絞りf11・1/250秒)・WBオート・ISO100・JPEG

正直いえば、筆者は先のCP+2014でモックを手にしたとき、そのあまりの小ささにi40に対しそれほどの期待は抱かなかった。しかし、実際使用してみると実力は侮れず、結果は掲載した作例のとおり。両手で包んでしまえる大きさながら、どのようなシーンでも撮影者の期待に十二分に応えるものである。i40をメインとして使うのもよし、サブとしてつかうのもよし、リーズナブルな価格設定がなされているので、ストロボライティングを楽しむ機会の多いデジタルユーザーは一台持っていて損はない。

<対応メーカー(5月21日現在)>
キヤノン用、ニコン用(発売中)→対応カメラリストは
メーカーサイトにて
ソニー用、フォーサーズ用(6月発売予定)



【メーカーサイト】
ニッシンジャパン:http://www.nissin-japan.com/top.html

製品ページ i40: http://www.nissin-japan.com/i40.html
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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