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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2015/01/20

ソニーα7II+オールドレンズ Vol.2 実写編

photo & text 大浦タケシ
カールツァイス・ビオゴン21mmF2.8 ZMを装着したα7II。黒のボディカラーとシルバーカラーの鏡筒とのミスマッチが独特の雰囲気を醸し出す。マウントアダプターはHawk's Factory製。

ソニーα7 IIはセンサーシフト方式の手ブレ補正機構を搭載したフルサイズミラーレスモデル。手ブレ補正機構は5軸タイプとしており、一般的な角度ブレ(ピッチとヨーの2軸)、マクロ撮影の際など発生しやすいシフトブレ(左右方向と上下方向の2軸)、そしてカメラが回転してしまうことで発生する回転ブレ(1軸)に対応。この手ブレ補正機構は純正以外のレンズでも機能する。前回の記事では、このα7 IIをオールドレンズフリークの目線から解説した。今回は実際にオールドレンズを装着して撮影を行った。

ライカR スーパーアンギュロン21mmF4
ライカR スーパーアンギュロン21mmF4+メタボーンズ製マウントアダプター

F11 1/250 ISO100


 F8 1/400 ISO100


コンタックスG 28mmF2.8(Mマウント改造)

コンタックスG 28mmF2.8(Mマウント改造)+レイクオール製マウントアダプター


F4  1/80 ISO100 +0.3


F5.6 1/1000 ISO100


F5.6 1/800 ISO100


α7IIの手ブレ補正機構の効果はオールドレンズでも絶大だ。筆者の場合スナップ撮影では、自分自身が動きながら撮ることや不安定な体制で撮ることが多々ある。さらに、ワイド系のレンズでスナップ撮影を楽しむ場合、あらかじめピント位置を2、3メートル先に合わせ、絞り込むことで被写界深度を稼ぐ撮影が多い。いずれの場合もブレが発生しやすくなるが、今回撮影した画像をチェックするかぎりブレの発生している画像の比率がぐっと下がったように思える。もちろん、厳密に見れば、手ブレ補正機構がカメラの動きに追い着かず微妙にブレてしまっている可能性もあるけれど、写真として見た場合そう気になるようなことはない。補正効果4.5段とする5軸タイプの手ブレ補正機構は、実に心強い。

その手ブレ補正機構を有効にするのは、前回記したように装着したレンズの焦点距離をその都度カメラに設定する必要があるが、この操作はつい忘れてしまいがち。筆者も今回の撮影ではうっかり忘れ、後から気づき慌てて設定するようなことが幾度かあったが、こればかりは早く慣れてしまうしかないだろう。

ソニーは、オールドレンズをα7シリーズに装着して楽しむことに対し寛容的である。いやむしろ、ライブビュー画像の拡大が右手人指し指で操作しやすい位置にあるカスタムボタンにデフォルトで設定されていることを考えると、推奨しているといってよいほどだ。もちろん、それはα7IIにも継承されている。本モデルではトップカバーにあるカスタムボタンはC1とC2の2つになったが、そのうちのC2ボタンにライブビュー画像の拡大が割り当てられている。さらにより強く実感させられるのが手ブレ補正機構の焦点距離入力。8mmから1000mmまでの焦点距離に対応するが、そのなかには21mmや90mmといったどちらかといえばマイノリティに属する焦点距離もライナップ。その細かさから対応しないMFレンズは存在しないのではないかと思えるほどだ。

描写はこれまでのα7と同じだ。階調再現性に優れ、しかもナチュラル。絵づくりにクセのようなものは感じられないので、オールドレンズの特性がダイレクトに描写に反映する。ライカRレンズの渋い色調や、オールドニッコールのエッジの効いた描写など余すこと無く再現する。さらに高感度特性にも優れており、5軸タイプの手ブレ補正機構とともに、アベイラブル撮影がとことん楽しめる。

些か古めかしい言葉だが、α7 IIは正に鬼に金棒。フルサイズというMFレンズの描写を最大限に活かすフォーマットに加え、強力な手ブレ補正機構の搭載で、オールドレンズフリークにとって現在のところこれ以上のミラーレスは、ない。さらにボディも質感が増すとともに、ホールディング性も向上。α7シリーズの完成形といっても差し支えないだろう。このカメラにお気に入りのオールドレンズを付け、街を徘徊したいと考えるのは筆者だけではないはずだ。



ライカR エルマリート35mmF2.8

ライカR エルマリート35mmF2.8+メタボーンズ製マウントアダプター


F2.8 1/80 ISO100 -0.3


F4 1/2000 ISO100 +0.3


F5.6 1/800 ISO100


F4 1/640 ISO100



ニッコールS オート55mmF1.2

ニッコールS オート55mmF1.2+mukカメラサービス製マウントアダプター


F1.2  1/2500 ISO100


F1.8 1/1000 ISO100


F4 1/100 ISO100 +0.3

ニッコールP オート10.5cmF2.5

ニッコールP オート10.5cmF2.5+mukカメラサービス製マウントアダプター


F2.5 1/60 ISO200 -0.3
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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