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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2015/12/29

タムロン SP 35mm F/1.8 Di VC USD 〜イルミネーションを旅する〜

photo & text 若子jet

Canon EOS 5DS + TAMRON SP 35mm F/1.8 Di VC USD (以下共通)
F1.8 1/250 ISO1250 WBマニュアル
モデル:谷知恵(SATORU JAPAN)

毎年、街が賑やかに彩られる季節は無性にイルミネーションが撮りたくなる。
私の場合は、光だけではなく、ポートレートも。

夜景ポートレートを撮るためには、様々な難しいハードルをクリアしなければならない。天候、イルミネーション周辺の混雑、暗すぎてピント合わせが困難になること、手振れの恐れ。このような種々のハードルは、プロでもアマチュアでも同じだ。
そんな状況でも、綺麗なシチュエーションに立つモデルを見ると、誰しもが写真に収めたくなるだろう。ハッと息をのむほどの、感動に出会うことができるからだ。



F2 1/125 ISO1250 WBマニュアル -0.33

夜景ポートレートを撮るコツとは

三脚を使い撮影すること。または、手持ち撮影の場合には、ブレを防止するためにも、連写設定すること。手ぶれ補正機能がついたレンズや、ボディーは強い味方になってくれる。ピントを正確に合わせるために、ペンライト等で被写体を照らし、フォーカスを合わせるというテクニックも使う。

撮影前に現地をロケハンをし、イルミネーションの点灯時間や電球色、電球の点滅の速さなど、光源をしっかり下調べすることが大切だ。
イルミネーションの色見時には、モデルに同行してもらって、衣装の色を同系色、あるいはあえて対比色の洋服にしてみたり、イルミネーションとモデルの存在感の生かし方にも着目したい。さらにはLEDライトなどで時間差で変更するイルミネーションの際には、白系の洋服をきてもらうと、モデルの顔が明るく見え、存在感が際立つだろう。



F1.8 1/60 ISO1250 WBマニュアル


F2 1/60 ISO800 WBマニュアル -0.33

夜景ポートレートには、大口径の明るいレンズが必須。今回は「タムロン SP 35mm F/1.8 Di VC USD 」を使い、モデルと光のイルミネーションを旅した。


タムロン SP 35mm F/1.8 Di VC USD

まず、手振れ補正機能がついているレンズは非常にありがたい。絞り3段分の手振れ補正機能よって、スローシャッターでも安心してシャッターを切ることができた。
大口径レンズならではの、被写界深度が浅く、綺麗なボケ味が美しい。
高解像度のキヤノン EOS 5Ds との組み合わせでは、重さやバランス的にも程よかった。その描写を見ると、溶け込んでいくような表現がとても美しい。
SP 35mm F/1.8 Di VC USDは、シャープネスやハイコントラストを追求したレンズの表現とは一味違い、やわらかいボケを楽しみたい方におすすめのレンズだ。
その良さは、フルサイズ・デジタル一眼レフカメラで撮影すると、より効果的だ。


F2 1/160 ISO800 WBマニュアル

35ミリという準広角レンズを活かしたダイナミックな絵が欲しくて、やや下から見上げるかのように撮影してみた。横位置で撮影することでさらに広がりを感じさせることができる。広角レンズは被写界深度が深いので、もっと背景までクッキリするのかと思ったけれど、大口径のおかげで背景は綺麗にボケてくれた。
SP 35mm F1.8は、近接撮影が得意で、20cmまで近づくことができる。これを活かしてモデルにグッと迫って撮るのも面白いだろう。


また今回のライティングには、イメージビジョンのワイヤレスフラッシュトランシーバー「Cactus V6」を使った。カメラ側に発信機を装着し、発信機側から受信機側に装着したストロボを調光補正した。ストロボをカメラから離して使うことにより、イルミネーションを生かしつつ、スローシャッターでストロボ光を当て、背景のイルミネーションとのメリハリをつけ、モデルの顔を明るくした。
ここまで今回の撮影方法について解説すると、夜景ポートレートはとても難しいと思われるかもしれないが、ビギナーはライティングを作りこまずにまずは定常光だけで撮ってみると良いだろう。バッテリー式のLEDライトなどで顔を照らすだけできれいな画を撮ることができる。


F2 1/50 ISO800  WBマニュアル +1.33
モデル:前田千絵(Satoru Japan Inc.)


F2 1/30 ISO2500 WBマニュアル +0.33

冬の夜間の撮影では、寒さがモデルの体力を奪い、表情がこわばってしまうことも多々ある。イルミネーションの場所によっては、点灯時間は限られているが、こまめに休憩もいれることが重要だ。また、ホッカイロや温かい上着などを着用し、温かいものを飲んだりと、モデルへケアしながらの撮影が必要だ。


F1.8 1/60 ISO800 WBマニュアル


F1.8 1/60 ISO2000 WBマニュアル +0.33

クリスマスが終わっても、2月のバレンタインデーくらいまでは、各地でイルミネーションが開催されている。空気が澄んだこの季節、美しい夜景ポートレートを楽しみませんか?



<スタッフ>
写真1〜5作品目
モデル:谷知恵(SATORU JAPAN )
http://www.satorujapan.co.jp/
ヘアメイク:石河恵

写真6〜9作品目
モデル:前田千絵(SATORU JAPAN)
http://www.natu-mo.jp
ヘアメイク:篠原奈緒子


<メーカーサイト>

タムロン 新SPシリーズ スペシャルサイト
https://www.tamron.co.jp/lineup/f012_f013/#/




若子jet プロフィール
岐阜県岐阜市生まれ。 名古屋造形大学卒業。
撮影スタジオ勤務後、出版社写真部を経て、写真家松本明彦氏に師事後、独立。被写体は人物を中心に、雑誌、広告等の撮影をする一方、展覧会でも発表多数。ライフワークとして街スナップを楽しんでいる。トークショーやコンテスト審査員としても幅広く活動。優しく可愛く綺麗な世界観を得意とする。
2016年7月若子jet写真集「キッチュa GO!!GO!! 浪花編」好評発売中。

http://wakakojet.com/
http://wakakojet.exblog.jp/
twitter:@wakakojet
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