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新製品レビュー

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新製品レビュー
公開日:2014/12/29

ソニーα7II+オールドレンズ Vol.1

photo & text 大浦タケシ

ライツミノルタCL用のM-ロッコール40mmF2を装着したα7II。コンパクトな鏡筒はα7IIによく合う。マウントアダプターはRAYQUAL製。

ソニー α7II 〜オールドレンズ・フリークのためのベースボディ〜


ソニーα7シリーズといえば、オールドレンズフリークにも人気の高いミラーレス一眼カメラだ。35mm判レンズの性能をフルに発揮させられるフルサイズフォーマットのイメージセンサーを搭載し、ライブビュー画像の拡大もトップカバーにあるカスタムボタンにデフォルトで機能が与えられる。高精細なEVFを搭載しているのも好まれる理由といえる。そのα7シリーズに手ブレ補正を内蔵する「α7II」(アルファセブンマークツー)が登場した。レンズグルメの愛読サイトとしては、2回に分けてこのα7IIの魅力を探っていきたい。第1回となる今回は主に従来機α7との比較を、第2回はオールドレンズとのマッチングをチェックしてみることにする。

α7 IIは、従来のα7シリーズ、α7/α7R/α7Sとは別ラインとなるカメラである。その機能的な違いが、前述のとおり手ブレ補正機構の搭載といえるだろう。強力な5軸タイプのセンサーシフト方式としており、一般的な角度ブレ(ピッチとヨーの2軸)、マクロ撮影の際などに発生しやすいシフトブレ(左右方向と上下方向の2軸)、そしてカメラが回転することで発生する回転ブレ(1軸)に対応する。なかでも回転ブレに対する補正は、センサーシフト方式のみ対応できるもので、レンズシフト方式に対するアドバンテージといえる。さらに、補正効果はシャッター速度に換算して4.5段(メーカー公称値)と強力だ。

この手ブレ補正機構は、オールドレンズを装着したときももちろん有効である。ただし、そのためにはレンズの焦点距離をユーザーがカメラに伝える必要がある。伝えるといってもその手順は簡単で、撮影メニューの[手ブレ補正設定]から[手ブレ補正焦点距離]のメニューに入り、装着したレンズと同じ焦点距離を選べばよい。選択できる焦点距離は8mmから1000mmまでとする。気をつけなければならいのは、この作法をつい忘れがちになることだろう。レンズ交換の際は留意するようにしたい。
また、ズームレンズの場合、使用する焦点距離に合わせてその都度カメラ側の焦点距離選択を行わなければならないことも憶えておきたい。



5軸式の手ブレ補正機構を内蔵。手ブレ補正機構を搭載する純正Eマウントレンズを装着した場合、角度ブレの補正はレンズ側で、シフトブレと回転ブレはカメラ側という棲み分けに。
純正以外のレンズでも手ブレ補正は有効。装着したレンズの焦点距離をメニューから選択すればよい。8mmから1000mmまでのほとんどの焦点距離に対応している。

ところで気になるのが、純正のEマウントレンズ(OSS搭載)をα7IIに装着したときのこととなるだろう。OSS搭載のEマウントレンズはレンズシフト方式の手ブレ補正機構を採用しているからだ。その場合、角度ブレの補正はレンズ側の手ブレ補正機構で、シフトブレと回転ブレの補正はカメラ側の手ブレ補正機構という棲み分けとなる。このような方式はこれまで無いもので、ソニーらしい独自性を感じさせる。


右がα7 II、左がα7。グリップの形状が大きく異なるほか、シャッターボタンと前ダイヤルの位置の違いにも注目。トップカバーのカスタムボタンもα7 II は2つとしている。


手ブレ補正機構搭載のほかに従来のα7シリーズから大きく変わったのがまずグリップ周辺だ。これまでのものより前方に張り出し、より確実にホールドできるようになった。また、従来トップカバーにあったシャッターボタンは、グリップ上部へ移動。使いにくいといわれていた前ダイヤルもグリップ先端に備わりより機能的に操作が楽しめる。
さらにトップカバーのカスタムボタンは1個から2個に増設。ライブビュー画像の拡大は、カメラ中央寄りのC2ボタンを押せばよい。いわゆるペンタカバーの形状もわずかではあるが変更に。横への張り出しが小さくなり、これまでよりスマートな印象としている。ボディのサイズについては、センサーシフト方式の手ブレ補正機構の搭載によりこれまでよりも厚みが増すとともに、質量もα7の474g(バッテリー、メモリーカード含む)から一挙に599g(同)に。さらにボディ表面は光沢のあるブラックから、レザー調でマットなブラック仕上げとしている。



こちらはボディの厚さの違いに注目してほしい。イメージセンサーシフト方式の手ブレ補正機構の搭載によりα7 IIは厚みを増している。ちなみにソニーでは手ブレ補正機構のことをSteadyShotと呼ぶ。


従来からシェイプの変化したペンタカバー。これまでのα7シリーズにくらべコンパクトにまとまり、より洗練されたものに。


堅牢性を増したマウント部。バヨネットのツメもマウントと一体化され、信頼性も高まった。Webなどで脆弱性が指摘されていた部分だけに、メーカーもきっちり対応してきている

マウントが強化されたこともオールドレンズユーザーには朗報だろう。α7シリーズではマウントの脆弱性が指摘されていただけに、メーカーもその声に応えたものといえる。マウントアダプターを介し重量級の大口径レンズを装着するような場合など安心だ。

手ブレ補正機構を除けば,カメラ部のスペックはα7とほぼ同じ。イメージセンサーは定評ある有効2400万画素“Exmor”CMOSを採用。映像エンジンも同じBIONZ Xとする。気になる絵づくりは、α7と同一とのこと。AFに関しては、従来よりも高速化されているが、詳しくはここでは言及しない。



C2ボタンがC3ボタンとなった以外は背面の操作部材のレイアウトに変更はない。液晶モニターも従来と同様3インチで、チルト式とする。


バッテリーも従来と同じとなる。フル充電の際の撮影可能枚数はEVFで270枚とするが、これは手ブレ補正の入ってないα7と同じだ。

α7II +オールドレンズギャラリー


ズミクロン 35mmF2 + Hawk's Factory製マウントアダプター




ニッコール45mmF2.8P+RAYQUAL製マウントアダプター




リケノン55mmF1.4(ニコンFマウント)+mukカメラサービス製マウントアダプター  




ズミクロンR35mmF2+METABONES製マウントアダプター

*α7IIについて外観は一部最終ではありません



ソニーα7 IIレビューの2回目はオールドレンズを使った作例で展開する予定なので、楽しみにしていてほしい。
 著者プロフィール
  大浦タケシ(おおうら・たけし)

宮崎県都城市生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。紆余曲折した後、フリーカメラマンとなり、カメラ誌、Webマガジン等でカメラおよび写真に関する記事を執筆する。中古カメラ店巡りは大切な日課となっており、”一期一会”と称して衝動買いした中古カメラは数知れず。この企画を機に、さらに拍車がかかる模様。2006年よりカメラグランプリ選考委員。
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